海藻押し葉
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/13 19:11 UTC 版)
海藻の標本もほぼ同じような形で作る。ただし、幾つかの点で陸上植物とは違う注意を要する。 事前に十分流水に晒し、塩抜きをする必要がある。塩が残ると標本台紙や植物体自体の傷みが早い。 陸上植物よりも水分が多いので、厚手の吸い取り紙を使う。場合によっては押し始めてから頻繁に交換する。 海藻は多糖をまとったものや分泌するものが多いので、圧搾するときに吸い取り紙にくっつかないよう、台紙に広げた上からさらしの木綿布をかぶせる。 海藻は陸上植物より組織が軟弱である上、構造的にも嚢状体であったりと偏平に押し潰された場合に失われる情報も多い。緑藻類のバロニアの仲間や、紅藻類のフクロツナギなどはその代表例である。また、緑藻類のミルのように、水分含量が多く厚みのある植物体を形成するものも押し葉には向かない。これらの海藻においては、液浸標本やプレパラート標本、あるいはグリセリンを浸透させたなめし皮状の標本と併用する事が望ましい。 学術研究用の標本では行わないが、教材用や観賞用の目的で作成した海藻押し葉標本は、ラミネート加工を施す事でより破損しがたい状態での保存が可能である。 近年では学術的な標本の他に、押し花と同様に海藻の美しさ自体に着目した文化活動としての海藻押し葉を楽しむ動きもある。
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