活性/不活性遷移
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/12/10 09:31 UTC 版)
「NADH:ユビキノン還元酵素 (水素イオン輸送型)」の記事における「活性/不活性遷移」の解説
真核生物の複合体Iの触媒活性は複雑である。酵素には触媒的・構造的に異なる2種の型があり、一つ目は活性型(A型)、もう一方は不活性型(D型)である。生理学的温度(>30°C)で基質が欠乏することにより酵素は不活性型に変わるが、NADHの遅い反応(k~4 min-1)とそれに続くユビキノンの還元によって活性化することができる。何回かの代謝回転の後、酵素は活性状態となり、速い速度(k~104 min-1)で触媒作用を及ぼすようになる。二価カチオン (Mg2+, Ca2+) の存在下、またはアルカリ性の状態では活性化は長くなる。 失活過程での高い活性化エネルギー (270 kJ/mol) は複合体Iに大きな構造変化が起きたことを示しているが、現在判明している2種の構造間の違いは酵素表面に露出するシステイン残基の数のみである。不活性型の複合体Iのシステイン残基をスルフヒドリル試薬(N-エチルマレイミドまたはDTNB)で保護すると、酵素は活性化しなくなる。一方、A型はスルフヒドリル試薬とは反応しない。 構造変化には非常に重要な生理学的意義があることが分かっている。活性型はニトロソチオールとペルオキシ亜硝酸による阻害を受けにくく、逆に不活性型の方が受けやすい。
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