沈降説の難点と氷河制約説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/11/12 16:04 UTC 版)
「氷河制約説」の記事における「沈降説の難点と氷河制約説」の解説
ダーウィンの沈降説は、サンゴ礁の構造等によく合致するが、必ずしも全面的に受け入れられたわけではなかった。たくさんある環礁や堡礁が、すべて沈降によるものだとすれば、太平洋の島々はほとんどが沈降したことになる。そのような大規模な沈降を考えるのは難しいとの考えもあった。また、沈降によって環礁や堡礁ができるのだとすれば、礁湖の深さは島ごとに様々であっていいはずである。ところが、大部分の環礁や堡礁は、礁湖の深さが50 - 80mと一定している。このことも沈降説では説明できなかった。 この、礁湖の深さがほぼ一定であることに注目したのがアメリカの地質学者であるR.A.デーリーen:Reginald Aldworth Dalyである。彼はこのことを、海水面そのものが全体として変動したことを示すものであると考えた。地球の歴史の中で、何度か氷河時代と言われる時期があり、そのたびに両極を中心にして大陸上の氷河が発達した。氷が大陸上に増えれば、海水が減らざるを得ない。そのために海水面が低下したというのである。間氷期には氷河が溶け、そうすれば海水面は上昇する。 そこで、氷期に海水面が低下すれば、サンゴ礁は海水面上に出て、波によって侵食されるであろう。場合によっては島の部分も削られるであろう。そこで、氷期が終われば再び海水は上昇する。つまり、結果的に島は沈降する。そうすると、サンゴは外洋側が上に向かって伸びる。真ん中に島が残っていれば堡礁になり、島がなければ環礁になるのだ、というのである。 新生代第四紀には氷期が数回あり、それによって海水面は約100m低下した。現在は間氷期に当たり、海水面は高くなっている。礁湖が80m程度の深さであるのは、そのためだというのである。
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