梳糸
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/02 07:06 UTC 版)
篩板から出される糸を梳糸(そし、hackled band)と言う。絹糸帯とも呼ばれた。これは粘着性があり、獲物の昆虫などを捕らえるのに使われる。 例えばコガネグモ科に典型的な円網は放射状に張られた縦糸と、細かな螺旋状に張られた横糸からなり、この横糸に粘液球があって昆虫を粘り着かせて捕らえる。この粘液は集合腺という糸腺の一つから出る。これに対して、ウズグモ科のものも円網を張るが、この場合の横糸はこの梳糸で作られている。このようなクモでは集合腺を持たず、粘液を纏った糸は作れない。その代わりに、篩板からは極めて細い糸が紡ぎ出される。クモはこれを歩脚にある毛櫛で梳き取るようにし、その結果、このごく細い糸がたくさんまとわりついた糸を作る。これは見かけでは白くふわふわした糸に見える。獲物の昆虫は、この糸に毛や突起が絡んで捕まるとも、糸表面の物理的原因で粘着するともいわれる。 ウズグモ類の網における横糸では、この糸にはまず二本の並行して走る地糸(軸糸)があり、これは後疣から引き出されたものである。その地糸の回りには、非常に細かくて縮れた糸がまとわりつき、これをパフと呼ぶが、この細かい糸が篩板から引き出されたものである。その太さは0.01 μmともいわれる。さらにもう一つ、中疣から出される微小繊維がこの糸には含まれ、これは地糸二本に沿って並び、これをまとめる働きをするともいわれる。篩板を持つクモで円網を張らないクモでは、その網のあちこちに類似の梳糸が張られており、それが獲物を捕らえる役割を担う。
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