梳糸の効果
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/02 07:06 UTC 版)
梳糸は、上記のように粘球を持つ糸、粘糸と同じ役割を果たすものである。だが、その効果には幾つかの違いがある。 一つには、粘糸に比べ、生産するのにより多くのエネルギーが必要であり、その粘着力はより劣る、という面である。梳糸からなる円網と粘糸からなる円網を比較した研究では、体重当たりの糸の投資量は差がないものの、糸や網の粘着力では粘糸の網が遙かに高い、との結果がある。しかも、その差はクモの体重が大きいほど大きくなる。これは、篩板を持つクモの種数が少なく、大型種を含まないことの理由であると考えられる。Opellは粘糸の「開発」を『キー・イノベーション(鍵となる革新)』であると述べている由。つまり、クモは粘糸を作り出せたことで大型化、多様化が可能になったとするものである。 他方で、粘糸は乾燥によって劣化し、その粘着力が著しく低下するのに対し、梳糸は乾燥に強く、その粘着力が長時間維持される。小野は篩板は乾燥や高温への適応として発達したとの考えを示している。 オウギグモの網(三角網・梳糸円網の一部とほぼ同じ) ナガコガネグモの網(粘糸円網)
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