根の単離
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/20 05:36 UTC 版)
当時は分子内に存在する根は何らかの方法で単離できるものであると考えられていた。根の単離に成功したという報告はまず1839年、ロベルト・ブンゼンによってなされた。ブンゼンは有機ヒ素化合物を研究しており、酢酸カリウムと亜ヒ酸を反応させると、カコジル(ジメチルアルサニル)根 ((CH3)2As) が単離できると報告した。また、このカコジル根から誘導体を合成できることも示した。 ヘルマン・コルベは酢酸を電気分解してメチル根が得られることを報告した。またさらに有機亜鉛化合物を研究していたエドワード・フランクランドは、1850年に亜鉛とヨードメタンまたはヨードエタンの反応でメチル根、エチル根が生成したと報告した。 しかし、これらは後に実際には根の2量体であったことが明らかとなった。当時はまだ分子の概念が確立しておらず、組成式のみから判断した故の過ちであった。 一方、シャルル・ジェラールは複分解反応の研究から、有機化合物の中の根はリービッヒが化学反応の中においてのみ現れるもので、そのような実体は存在しないという立場をとった。ジェラールの理論を受け継いだフリードリヒ・ケクレもこの立場を継承していた。
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