日本・アメリカ間の航空路線とは? わかりやすく解説

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日本・アメリカ間の航空路線

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/26 09:55 UTC 版)

日本・アメリカ間の航空路線(にほん・アメリカかんのこうくうろせん)では、日本アメリカの間を結ぶ商用航空路線をめぐる歴史や背景、現状の運航概況をまとめる。(ハワイ・グアム路線はのぞく)

歴史

黎明期(パンアメリカン航空、日本航空の2強時代)

成田空港への移管

  • 1978年、新東京国際空港(現・成田国際空港)が開港し、東京を発着するアメリカ路線は、全便が成田発着となる。
  • 1983年4月1日に日本航空が、1983年4月3日にはユナイテッド航空が、東京/成田-シアトル-シカゴ線を開設した。
  • 1983年7月、日本航空がボーイング747-200LRを導入し、パンアメリカン航空に続いて、東京-ニューヨーク間の無着陸直行便の運航を開始した。
  • 1985年、パンアメリカン航空が、日本路線の権利・経営資源(成田国際空港の発着権や日本国内の以遠権、社員や支店網、整備拠点や地上支援機材、アジア路線に使用していたボーイング747、ロッキード L-1011 トライスター、ボーイング727)を、ユナイテッド航空に売却した。ユナイテッド航空は、シカゴ-シアトル-東京線のみしか運航していなかった。
  • 1985年6月22日、日本航空が、東京/成田-ニューヨーク直行便に「ビジネス専用型ジャンボ」を投入。
  • 1986年、ユナイテッド航空が、大阪-サンフランシスコ線を開設。
  • 1986年7月16日、全日本空輸が、東京/成田-ロサンゼルス線を開設。全日本空輸初のアメリカ路線となる。
  • 1986年7月26日、全日本空輸が、東京/成田-ワシントン線に就航。
  • 1987年、アメリカン航空が、東京/成田-ダラス線に就航。
  • 1987年3月3日、デルタ航空が、東京/成田-ポートランド-アトランタ線を開設。
  • 1991年、アメリカン航空が、東京/成田-サンノゼ線、東京/成田-シアトル - マイアミ線を開設。
  • 1991年3月9日、全日本空輸が、東京/成田-ニューヨーク線に就航。
  • 1991年3月30日、日本航空が、東京/成田-ワシントン線を開設。
  • 1994年6月、日本航空が、ハワイ、グアム、サイパン、オーストラリアなどのリゾート路線において「リゾッチャ」キャンペーンを開始[1]
  • 1994年9月4日、関西国際空港開港に合わせて、日本航空が大阪/関西-ロサンゼルス線を開設[2]
  • 1998年、アメリカン航空が、大阪/関西-ダラス/フォートワース線開設。
  • 1998年4月1日、日本航空が、名古屋-ロサンゼルス線開設。
  • 1998年10月2日、日本航空が、東京/成田-ラスベガス線開設。
  • 1998年12月1日、全日本空輸が、東京/成田-サンフランシスコ線を開設。
  • 1999年3月15日、日本航空が、東京/成田-ダラス線を開設。
  • 1999年5月1日、日本航空が、大阪/関西-シカゴ線を開設。
  • 2002年、アメリカン航空が、東京/成田-ニューヨーク線に就航。
  • 2003年、アメリカン航空が、東京/成田-ロサンゼルス線に就航。
  • 2005年4月4日、アメリカン航空が、中部-シカゴ線に就航(半年で運休)。
  • 2010年1月31日、デルタ航空とノースウエスト航空の合併により、デルタ航空が成田空港のハブ機能、以遠権を引き継いだ。
  • 2010年2月12日、アメリカン航空と日本航空が、反トラスト法の適用対象除外(ATI)を米国運輸省へ申請。

羽田空港再国際化による羽田移管

  • 2010年5月7日、羽田空港発着枠が配分された。
    • アメリカン航空は、ニューヨーク線の運航権を獲得。
    • デルタ航空は、ロサンゼルス、デトロイト線の運航権を獲得。
  • 2010年10月31日、羽田空港再国際化が行われ、日本航空のサンフランシスコ線が開設。
  • 2011年2月22日、アメリカン航空が、東京/羽田-ニューヨーク/JFK線を開設。
  • 2012年4月、日本航空が、東京/成田-ボストン線を開設[3]
  • 2012年7月25日、全日本空輸が、東京/成田-シアトル線を開設[4]
  • 2013年1月11日、全日本空輸が、東京/成田-サンノゼ線を開設[5]
  • 2015年6月22日、全日本空輸が、東京/成田-ヒューストン線を開設。
  • 2015年11月30日、日本航空が、東京/成田-ダラス線を開設[6]
  • 2016年2月11日、アメリカン航空が、東京/羽田-ロサンゼルス線に就航[7]
  • 2016年10月31日、全日本空輸が、東京/羽田-ニューヨーク線、羽田-シカゴ線に就航。
  • 2017年4月1日、日本航空が、東京/羽田-ニューヨーク線を開設。
  • 2019年3月31日、日本航空が、東京/成田-シアトル線を開設[8]

2019年の羽田発着枠大幅拡大

  • 2019年5月16日、2020年東京オリンピックにむけた2020年夏期スケジュールの羽田空港発着枠新規配分が行われた
    • デルタ航空は、シアトル・デトロイト・アトランタ・ポートランド・ホノルルの5路線の仮承認を獲得。
    • ユナイテッド航空は、ニューヨーク、シカゴ、ワシントン、ロサンゼルスの4路線の仮承認を獲得。
    • アメリカン航空は、ダラス、ロサンゼルスの2路線の仮承認を獲得。
  • 2020年3月、新型コロナウイルス感染拡大を受け、ほとんど路線が運休。
  • 2020年3月29日、都心上空ルート導入に伴う羽田空港の発着枠拡大が行われた。以下の路線が開設される予定だったが延期された[9][10]
    • 日本航空:シカゴ線、ダラス線
    • 全日本空輸:サンノゼ線、シアトル線、ヒューストン線、ワシントン線、ロサンゼルス線、サンフランシスコ線。
    • アメリカン航空:ロサンゼルス線、ダラス線
  • 2021年12月12日、ZIPAIR Tokyoが、東京/成田-サンノゼ線を開設[11]
  • 2021年12月25日、ZIPAIR Tokyoが、東京/成田-ロサンゼルス線を開設[12]
  • 2023年6月2日、ZIPAIR Tokyoが、東京/成田-サンフランシスコ線を開設[13]
  • 2023年9月22日、デルタ航空が、東京/羽田-ポートランド線の発着枠を返還すると発表した。返還されたスロットの再配分には、ユナイテッド航空のヒューストン線、アメリカン航空のニューヨーク/JFK線が申請された。現状ANAやユナイテッド航空などのスターアライアンスに傾斜配分されていること、ユナイテッド航空のヒューストン線は成田からの移管であり増便にならないことなどを理由に、最終的にアメリカン航空のニューヨーク線が選定された[14][15]
  • 2024年1月24日、日本航空が、東京/羽田-ニューヨーク線において、新フラッグシップのエアバスA350-1000の運航を開始。以後、羽田発着のアメリカ路線にも、ボーイング777-300ERに代わって投入されている[16][17][18][19][20]
  • 2024年6月28日、2023年にデルタ航空が返上した羽田空港発着枠再配分により、アメリカン航空の東京/羽田-ニューヨーク/JFK線が就航[21]
  • 2025年3月4日、ZIPAIR Tokyoが、東京/成田-ヒューストン線を開設[22]
  • 2025年5月13日に、ハワイアン航空が東京/成田-シアトル線を開設した。ハワイアン航空はハワイ路線のみを運航してきたが、アラスカ航空に買収されたことで、アラスカ航空のシアトルハブ発着のアジア路線を開設した[23][24]

現在の運航概況

現在の運航会社と提携関係

分類 日本側 アメリカ側
フルサービスキャリア ワンワールド加盟 日本航空 アメリカン航空
ハワイアン航空
スターアライアンス加盟 全日本空輸 ユナイテッド航空
スカイチーム加盟 デルタ航空
格安航空会社 ZIPAIRTokyo
第三国キャリア(以遠権路線) シンガポール航空

提携関係

ワンワールドパートナーの日本航空アメリカン航空ハワイアン航空スターアライアンスパートナーの全日本空輸ユナイテッド航空がそれぞれ共同事業を行って提携している。

一方、スカイチームのデルタ航空は、日本に提携会社がいないため、2010年代には提携相手を模索していた。

  • 2010年に日本航空が経営破綻したとき、経営再建を支援することを見返りに、アメリカ側の提携会社をアメリカン航空からデルタ航空切り替え、合わせてスカイチームに移籍することを提案した。しかし、両社の提携によって日米路線のシェアが6割を超え独占禁止法によって提携が難しくなる可能性があったこと、経営再建の指揮を執っていた稲森和夫が、アライアンス移籍の負担や長年のアメリカン航空との関係を重視し、アメリカン航空との提携を継続した。
  • 2015年頃、スカイマーク民事再生法を申請し、債権者集会で再建案を決議することが決定した。当初は国交省が支持したANAホールディングスを中心とする案が有力であったが、ANA側が提示した再建案ではスカイマークが民事再生法申請前に運航していたエアバス機(エアバスA330)と発注していたエアバスA380が排除されており、それに対し、債権者であるエアバスイントレピッドが反発し、イントレピッドはデルタを担ぎ出し、ANAとデルタが相対する構図となった。しかし、ANAはエアバスにA380など機材の購入を持ちかけて支持を取り付け、ANA主導での再建案に決定した。

このように、デルタ航空は提携相手を獲得できなかった。さらに、提携相手がいないことによって、羽田空港発着枠の配分で割合を食うことが多く、アジアでのハブ空港を日本の成田空港から、韓国の仁川空港に移転させることとなり、さらにハブとしていた成田からも撤退して羽田に集約することとなった。

各社の機材

各社が、フラッグシップの大型機を中心に運航している。

  • 日本航空は、フラッグシップのエアバスA350-1000を羽田発着路線に順次投入しており、ボーイング777-300ERを置き換えている。2025年10月現在、羽田発着ではシカゴ線、サンフランシスコ線はB777だが、それ以外はA350となっている。成田発着路線は基本的にボーイング787に統一されており、B777で運航されるシカゴ線以外はB787となっている。
  • 全日本空輸は、ボーイング777-300ERボーイング787を使用して運航している。特に、非常に評価の高い最新の個室型ビジネスクラス「THE ROOM」を搭載している機材が優先的に割り当てられている。
  • デルタ航空は、2025年5月より、羽田発着の5路線(ホノルル線除く)の使用機材を、エアバスA350-900で統一している[25]。また、世界的にも非常にまれなボーイング767-400型機が、ロサンゼルス線やホノルル線に投入されたり、整備途中のフェリーフライトで飛来することがある。
  • アメリカン航空は、2025年10月現在は、東京/成田-ダラス線を除いて、基本的に中型のボーイング787-8/-9型機での運行となっており、他社と比べて日米路線の機材はやや小さめとなっている。しかし、2026年夏ダイヤから、東京/羽田-ダラス線に最大機材のボーイング777-300ER型機を、東京/羽田-ロサンゼルス線にボーイング777-200ER型機を投入し、東京発着路線において、上級座席を前年比45%増加させる計画を発表した[26]

特徴的な路線

関西発着の路線

2025年現在、日本航空のロサンゼルス線、ユナイテッド航空のサンフランシスコ線のみが運行されている。

基本的に、各社とも東京発着路線に力を入れており、アメリカの航空会社も、日本航空や全日本空輸の東京大阪路線にコードシェアで乗り入れて、乗り継ぎ需要を確保している。

ロサンゼルス発着の路線

ロサンゼルス路線は日本航空が特に力を入れており、北米では最多となる3路線(羽田、成田、関西)を運航している。

また、羽田-ロサンゼルス線は多くの航空会社が競合しており、日本航空(A350-1000)、全日本空輸(B787、2便)、デルタ航空(A350-900)、アメリカン航空(B787、2便)、ユナイテッド航空(B787-10)の5社7便が就航しており、各社の看板機材が投入されている。

ニューヨーク発着の路線

ニューヨーク都市圏と東京都市圏という、世界最大級の都市を結ぶ東京-ニューヨーク線も、多くの航空会社が競合している。

羽田発着路線では、日本航空(A350-1000、2便)、全日本空輸(B777-300ER、2便)、アメリカン航空(B787)がJFK発着で運航しており、他にも、ユナイテッド航空がニューアーク空港発着で運航しており、合計6便となっている。

脚注

  1. ^ a b c 70 YEARS HISTORY | JAL国際線就航70周年
  2. ^ YOSHIKAWA, Tadayuki. “JAL、関空-ロサンゼルス30周年 開港と同時就航、大谷選手の搭乗記念証も”. Aviation Wire. 2025年10月18日閲覧。
  3. ^ News, A. M. P. (2022年4月22日). “JAL、成田-ボストン線開設でボーイング787の初就航から10周年 羽田空港発着の特別記念チャーターを実施 | AMP[アンプ - ビジネスインスピレーションメディア]”. 2025年10月19日閲覧。
  4. ^ 新規開設路線 成田=シアトル線2012年7月25日より、運航を開始いたします|プレスリリース|企業情報|ANA”. www.anahd.co.jp. 2025年10月19日閲覧。
  5. ^ ANA 成田=サンノゼ直行便を就航!| Risvel”. www.risvel.com. 2025年10月19日閲覧。
  6. ^ JAL、2015年11月30日から成田=ダラス・フォートワース線を開設|プレスリリース|JAL企業サイト
  7. ^ 株式会社インプレス (2015年11月5日). “アメリカン航空、2016年2月11日に羽田~ロサンゼルス線を就航 直行便を毎日運航”. トラベル Watch. 2025年10月19日閲覧。
  8. ^ YOSHIKAWA, Tadayuki. “JAL、成田-シアトル27年ぶり再開へ 787新2クラス機、アラスカ航空と提携強化”. Aviation Wire. 2025年10月19日閲覧。
  9. ^ 編集部 (2019年11月19日). “ANA、東京/羽田発着アメリカ5路線開設 4路線は来年3月に、成田から移管”. TRAICY(トライシー). 2025年10月19日閲覧。
  10. ^ 2020年3月29日より新飛行経路の運用を開始し羽田空港において国際線を増便します
  11. ^ 『ZIPAIR』、12月より東京=サンノゼ線就航!さらなる飛躍を期して機体デザインを変更! | ZIPAIR公式サイト”. www.zipair.net (2022年6月15日). 2025年10月19日閲覧。
  12. ^ 『ZIPAIR』、12月25日より東京(成田)=ロサンゼルス線就航 | ZIPAIR公式サイト”. www.zipair.net (2021年11月12日). 2025年10月19日閲覧。
  13. ^ 東京(成田)=サンフランシスコ線就航! | ZIPAIR公式サイト”. www.zipair.net (2023年4月7日). 2025年10月19日閲覧。
  14. ^ sky-budget (2024年1月28日). “アメリカン航空、東京/羽田~ニューヨーク/JFK線開設の暫定承認を受けDOTとJALに感謝を表明 | sky-budget スカイバジェット”. 2025年10月19日閲覧。
  15. ^ sky-budget (2023年11月19日). “アメリカン航空、羽田枠獲得に向け「ユナイテッド航空は成田から羽田に路線移管するだけ」利用者の利益に繋がらないと主張 | sky-budget スカイバジェット”. 2025年10月19日閲覧。
  16. ^ JAL国際線 AIRBUS A350-1000
  17. ^ JAL、羽田〜ロサンゼルス線にA350-1000投入開始 777-300ERから切り替え - TRAICY(トライシー)
  18. ^ press.jal.co.jp/ja/items/uploads/JGN23088_A350-1000就航日リリース_FNL_web用.pdf
  19. ^ YOSHIKAWA, Tadayuki. “JALのA350-1000、ダラス毎日運航は8/29から 8月に5機体制”. Aviation Wire. 2025年10月19日閲覧。
  20. ^ YOSHIKAWA, Tadayuki. “JAL、A350-1000就航 20年ぶり旗艦機刷新、豪華個室席で羽田-NY”. Aviation Wire. 2025年10月19日閲覧。
  21. ^ sky-budget (2024年6月28日). “アメリカン航空、本日2024年6月28日より約10年ぶりに東京/羽田~ニューヨーク/JFK線の運航を再開 | sky-budget スカイバジェット”. 2025年10月19日閲覧。
  22. ^ ZIPAIR新規就航!成田(東京)⇔ヒューストン(テキサス)線で北米ネットワーク拡大 – 就航セール価格39,000円~”. ZIPAIR Tokyo. 2025年10月19日閲覧。
  23. ^ ハワイアン航空の直行便で成田からシアトルへ”. www.hawaiianairlines.co.jp. 2025年10月19日閲覧。
  24. ^ YOSHIKAWA, Tadayuki. “ハワイアン航空、成田-シアトル就航 初のハワイへ行かない日本路線”. Aviation Wire. 2025年10月19日閲覧。
  25. ^ 編集部 (2025年4月9日). “デルタ航空、羽田と米本土結ぶ全便をA350-900型機に”. TRAICY(トライシー). 2025年10月18日閲覧。
  26. ^ sky-budget (2025年8月11日). “アメリカン航空、2026年夏ダイヤで上級座席の提供数を45%増加させる計画 東京/羽田~ダラス線に777-300ERを投入 | sky-budget スカイバジェット”. 2025年10月19日閲覧。



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