日暮泰文
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/16 03:04 UTC 版)
ひぐらし やすふみ 日暮 泰文 | |
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生誕 |
1948年10月??日![]() |
死没 | 2024年5月30日(75歳没) |
出身校 | 慶應義塾大学法学部 |
職業 | 音楽評論家、音楽プロデューサー、実業家 |
活動期間 | 1969年 - 2024年 |
肩書き | ブルース・インターアクションズ 代表取締役社長(1975年-2007年)、株式会社フライアーズ・ポイント 代表取締役社長(2008年-2024年) |
日暮 泰文(ひぐらし やすふみ、1948年10月 - 2024年5月30日)は、日本の音楽評論家。ブルース・インターアクションズ(Pヴァイン・レコード)創業者。
人物・来歴
東京都新宿区柏木に生まれ神奈川県藤沢市で育つ。茅ヶ崎北陵高校を経て慶應義塾大学法学部卒。
中高時代に米ポピュラー音楽、特にリズム・アンド・ブルースに心酔し、ブルースの世界に深く入る。大学在学中の1968年に鈴木啓志とともにブルース&ソウル・ミュージック愛好会を設立。中村とうようによって1969年に刊行された月刊誌『ニュー・ミュージック・マガジン』のレギュラー・ライターとなる。
ブルース愛好会の機関誌を発展させる形で雑誌『ザ・ブルース』を1970年に刊行、76年以降隔月刊全国誌となる。1971年に初来日したB.B.キングの評価をめぐる中村とうようとの論争が話題となる。1981年に誌名を『ブラック・ミュージック・リヴュー』(bmr)に変更。90年代以降、『ブルース&ソウル・レコーズ』、『ポップ・アジア』、『ロック画報』、『クッキーシーン』、『フェイダー・ジャパン』といった雑誌を発行する。
まったく未開拓だったブルースのマーケットを広げ、音楽の魅力を知らしめるべく、トリオレコード(ケンウッドのレコード部門)を説得、1973年にシカゴのデルマーク・レコード原盤によるブルースのシリーズ発売にこぎつけ、ブルースがブーム化する。
1975年、高地明とともに有限会社ブルース・インターアクションズを設立(後に株式会社化)、代表取締役に就任。翌年同社のレーベル、Pヴァインから海外オーナーとのライセンス契約に基づくLPリリースを開始する。独立レーベルが洋楽をライセンスの下に日本発売するという形を確立、そのパイオニアとなる。
ブルース/ソウルからジャンルを広げ、アフリカ音楽、レゲェ、ハイチ、ラテン、ゴスペル、ジャズ、オルタナティヴ・ロック、ヒップホップ、邦楽等もリリース、約30年後には凡そ3,000タイトルのレコード、CD/DVDのカタログを持つ、世界レヴェルでも有数規模のレーベルに成長させる。
1979年より、ブルース・インターアクションズはプロモーターとしてブルースマンの招聘を「ザ・ブルース・ショウ」として行う。毎年恒例のライヴとしてアール・キング&ジョニー・アダムズ、オーティス・ラッシュなどのツアーを行なった1986年まで継続、その間ローウェル・フルソンやジョン・リー・フッカー、アルバート・コリンズ他の来日公演を実演した[1]。
2007年、所有していた株式会社ブルース・インターアクションズ、Pヴァイン・レコード株式会社、(株式会社ペトロ・ミュージックの全株を株式会社スペースシャワーネットワークに売却譲渡、経営から離れる[2]。
2008年、株式会社フライアーズ・ポイントを設立、高地明の株式会社ブライト・エコーズとの共同制作で、主に新規の録音を手掛ける。
2024年5月30日に死去。75歳没[3]。
著作
単行本
- 『ノイズ混じりのアメリカ:ブルース心の旅』(冬樹社、1980年)のち講談社文庫(1984年)
- 『のめりこみ音楽起業:孤高のインディペンデント企業、Pヴァイン創業者のメモワール』(同友館、2010年)
- 『RLーロバート・ジョンスンを読む:アメリカ南部が生んだブルース超人』(ブルース・インターアクションズ、2011年)
- 『ブルース百歌一望』(Pヴァイン、2020年)
翻訳
- ポール・オリヴァー『ブルースと話し込む』(土曜社、2016年)[4]
監修
- ポール・オリヴァー『ブルースの歴史』(米口胡訳、日暮泰文解説、晶文社、1978年。のち土曜社(2020年))[5]
- レイバーン・フレーラッジ『シカゴ・ブルース:インサイダーの眼』(高橋誠訳、日暮泰文監修、ブルース・インターアクションズ、2001年)
- チャールズ・ソーヤー『キング・オブ・ザ・ブルース登場:B.B.キング』(染谷和美訳、日暮泰文監修、Pヴァイン、2015年)
レコード・CDの監修(共同監修を含む)
- 1971年 RCAブルースの古典(RCAビクター)
- 1974年 ブルース名盤シリーズ(東芝EMI)
- 1975年 チェス・ブルース・コレクションズ(ビクター音楽産業)
- 1975年 RCAブルース・コレクターズ・シリーズ(ビクター音楽産業/RVC)
- 1976年 ニューオーリンズ・ブルース/R&Bシリーズ(東芝EMI)
- 1977年 B.B.キング選集(日本コロムビア)
- 1977年 Rockin' with the Blues シリーズ(ビクター音楽産業)
- 1978年 デューク・ピーコック・コレクション(日本コロムビア)
- 2015年 コンプリート・B.B.キング-17枚組CD+1LPボックス(P-Vine)
制作・プロデュース
- 1995年 Snooks Eaglin/Soul Train from Nawlins: Live at the Park Tower Blues Festival (P-Vine)
- 1995年 Robert Jr. Lockwood/Swings in Tokyo: Live at the Park Tower Blues Festival (P-Vine)
- 1998年 The Drums Project 1-4 (P-Vine)
- 1998年 Roy Gaines/Bluesman for Life (P-Vine)
- 1999年 Yoshihide Otomo/Plays the Music of Takeo Yamashita (P-Vine)
- 2002年 Tony Allen/No Accommodation for Lagos/No Discrimination (P-Vine)
- 2002年 The J.B.'s/Bring the Funk on Down (P-Vine)
- 2011年 Lee "Scratch" Perry/Rise Again (P-Vine)
- 2011年 Cornell Dupree/Doin' Alright (P-Vine)
- 2014年 Bloodest Saxophone feat. Jewel Brown/Roller Coaster Boogie (Mr. Daddy-O/Kadokawa)
- 2015年 Sherwood Fleming/Blues Blues Blues (KTI/Disk Union)
- 2018年 Bloodest Saxophone/In Texas (Mr. Daddy-O/Space Age)
- 2019年 Crystal Thomas/Don't Worry About the Blues (Mr. Daddy-O/Space Age)
脚注
- ^ 妹尾みえ, ed (2003-04-10). “来日ブルースマン全記録1971-2002” (日本語). black music review 2003年5月号増刊号 (ブルース・インターアクションズ).
- ^ “Company会社概要”. 株式会社スペースシャワーネットワーク. 2025年4月16日閲覧。
- ^ “「P-VINE」創業者の日暮泰文さん死去、75歳 CD、レコードなどの企画制作、音楽出版も - おくやみ : 日刊スポーツ”. nikkansports.com (2024年6月3日). 2024年6月3日閲覧。
- ^ ブルースと話し込む - 土曜社 - どようしゃ - DOYOSHA
- ^ ブルースの歴史 - 土曜社 - どようしゃ - DOYOSHA
- ^ “Yasufumi Higurashi Songs, Albums, Reviews, Bio & More”. 2025年4月16日閲覧。
外部リンク
- 日暮泰文のページへのリンク