日変化と細分
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/04/12 07:39 UTC 版)
大気境界層自体も、いくつかの層に細分される。またこれらの分布は、時間帯によって変化する。 地面と接している一番下の接地境界層(接地層 Surface layerともいう)は、裸地の場合は地表から高度10mから50mくらい、樹木や建物などがある場合はキャノピー層とも呼び、高度がより高く風も複雑になる。気象要素の鉛直分布を見ると、ふつう、高度とともに気温・温位・混合比は低下、風速は上昇し、風向は地形などによって大きく左右される。地面や建物などの摩擦力の影響が非常に大きい層。 接地層の上端から大気境界層の上端までは全てエクマン境界層(エクマン層 Ekman layerとも言う)である。摩擦力はやや小さくなる一方、気圧傾度力やコリオリの力が大きくなり、地衡風に近い風になる。 昼間は対流境界層(乱流境界層、乱流混合層、混合層 Mixed layerなどともいう)が大部分を占め、上端付近は移行層(遷移層)となる。日の出直後から日射によって発生し、地表付近のみに存在したものが次第に上空まで拡大してくる。日没直前ごろからは安定境界層の出現によって上空のみに存在するようになり、次第に薄くなる。夜間は対流境界層が薄くなり下降して、自由大気の層が拡大してくるという見方もある。ふつう、高度とともに気温は低下するが、温位・風速・混合比は高度に関係なくほぼ一定。 夜間は安定境界層(Stable boundary layer 接地逆転層、夜間安定層、夜間境界層などともいう)が地表付近にでき、高度数百m付近までを占める。次第に上昇していくが、一定の高さ付近で上昇は緩やかになる。ふつう、高度とともに気温は上昇する。 移行層(遷移層、エントレインメント層 Entrainment layerともいう)は大気境界層の上部に存在する。ふつう、高度とともに温位は上昇、風速も上昇、混合比は急低下する。移行層の下端は雲底高度となることが多い。
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