抒情組曲 (グリーグ)とは? わかりやすく解説

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抒情組曲 (グリーグ)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/21 03:10 UTC 版)

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抒情組曲』(じょじょうくみきょく、ノルウェー語: Lyriske suite)作品54は、エドヴァルド・グリーグ管弦楽曲ピアノのための『抒情小曲集』第5集(作品54)から4曲を選んで管弦楽編曲し、組曲としたもの。

作曲(編曲)の経緯

6曲からなる『抒情小曲集』第5集は1891年の作曲で、全10集に及ぶ一連の曲集の中でも最も評価が高いものである。この第5集から4曲が、1895年ニューヨーク・フィルハーモニー管弦楽団の指揮者アントン・ザイドルドヴォルザークの『新世界より』の初演者として知られる)によって管弦楽用に編曲され、『ノルウェー組曲』(: Norwegian Suite)と名付けられた。ザイドルが選んだのは原曲第2曲「ノルウェー農民の行進」、第3曲「小人の行進」、第4曲「夜想曲」、第6曲「鐘の音」である。

ザイドルの没後、ノルウェーの作曲家・指揮者でグリーグの姪の婿でもあるヨハン・ハルヴォルセンがザイドル未亡人から総譜を送ってもらい、1904年にクリスチャニア(現オスロ)の国立劇場のオーケストラで指揮した。グリーグはそのリハーサルを聴いて、自らの手で改訂したいと考え、ザイドル未亡人の承諾を得て同年に改訂を行った。もともとザイドルの編曲はグリーグに無断で行われたものだったにもかかわらず、本来必要のない改訂料まで未亡人側に支払われている。

グリーグはザイドルが編曲しなかった原曲第1曲「羊飼いの少年」を新たに編曲し、他の曲もほとんど全面的にオーケストレーションを改めた。さらに「鐘の音」については改訂作業後に組曲から割愛している。曲順も後述するように変更しており、名実ともに「グリーグ編曲」となっている。

初演については不明。楽譜は1905年ライプツィヒペータースから出版された。

演奏時間は曲順に約5分、約2分、約4分、約3分で、計約14分である。

楽器編成

ピッコロフルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、トランペット2、トロンボーン3、チューバティンパニ大太鼓シンバルハープ弦五部

内容

  1. 羊飼いの少年 (Gjætergut)
    弦五部とハープのみによる。原曲はト短調だったがイ短調に変更されている。
  2. ノルウェー農民の行進 (Ganger)
    原曲はハ長調だったがニ長調に変更されている。
  3. 夜想曲 (Aftenstemning)
  4. 小人の行進(トロルの行進) (Troldtog)
    後半2曲は原曲と曲順が入れ替わっている。『抒情小曲集』第5集と『抒情組曲』の作品番号は同じであるので注意を要する。

『抒情小曲集』からのその他の編曲

グリーグは『抒情小曲集』第9集(作品68、1898年)からも、1899年に第4曲「山の夕べ」(オーボエ、ホルン、弦楽合奏)と第5曲「ゆりかごの歌」(弦楽合奏のみ)を編曲している。

グリーグ自身やザイドル以外にも『抒情小曲集』中の曲を管弦楽編曲した例は多く、他には第8集(作品65、1896年)から「トロルドハウゲンの婚礼の日」が編曲されて親しまれている[1]

脚注

  1. ^ 『作曲家別名曲解説ライブラリー18 北欧の巨匠』p.80(特に編曲者の名は挙がっていない)

参考文献

  • 『作曲家別名曲解説ライブラリー18 北欧の巨匠』(音楽之友社、1994年)



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