広島における降雨地域
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/27 05:52 UTC 版)
従来、広島において黒い雨の降った範囲は、当時の気象技師の調査などに基づき、爆心地の北西部に1時間以上降った「大雨地域」(南北19km、東西11km)と1時間未満の「小雨地域」(南北29km、東西15km)だとされ、国はそれに基づき「大雨地域」在住の被爆者にのみ健康診断やがんなどの特定疾患発病時の被爆者健康手帳の交付を行ってきた。だが、実際にはその地域よりはるかに遠い地域でも降雨が報告されており、この基準に対する批判が多かった。 近年になって降雨範囲が従来よりはるかに広いことが広島市による被爆者の聞き取り調査により判明した。さらに、広島大学原爆放射線医科学研究所の星正治教授らが2008年から2009年にかけて行った調査により、爆心地から8km離れた「小雨地域」の土よりセシウム137を検出した。 これらの事実を受け、広島市では2010年度から2年かけて改めて原爆投下当日の気象状況を元に黒い雨の降雨範囲のシミュレーションを行うことを発表した。広島市は降雨域の拡大を厚生労働省に求め、これによって、被爆者の援護対象の拡大などが期待されたが、厚生労働省の有識者検討会は2012年1月20日に、「降雨域を確定するのは困難」との結論を出した。
※この「広島における降雨地域」の解説は、「黒い雨」の解説の一部です。
「広島における降雨地域」を含む「黒い雨」の記事については、「黒い雨」の概要を参照ください。
- 広島における降雨地域のページへのリンク