密度行列の厳密な定義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/20 03:21 UTC 版)
状態空間上の完全正規直交系 | ψ 1 ⟩ {\displaystyle |\psi _{1}\rangle } 、 | ψ 2 ⟩ {\displaystyle |\psi _{2}\rangle } 、…に対し、状態空間における | ψ k ⟩ {\displaystyle |\psi _{k}\rangle } 方向の射影作用素をPkとするとき、 ρ = ∑ k p k P k ( 0 < p k < 1 , ∑ k p k = 1 ) {\displaystyle \rho =\sum _{k}p_{k}P_{k}\quad (0<p_{k}<1,\quad \sum _{k}p_{k}\,=1)} ....(M1) という形で表記できる演算子 ρ {\displaystyle \rho } を密度演算子 (density operator )もしくは密度行列 (density matrix ) という。(上式右辺の収束はトレースノルムに関するものである新井08:p81)。 なお、射影作用素Pkはブラ-ケット記法では P k = | ψ k ⟩ ⟨ ψ k | {\displaystyle P_{k}=|\psi _{k}\rangle \langle \psi _{k}|} と書けるので、上述の定義は前節で述べた定義と実質的に一致する。しかしブラ-ケット記法は文脈により数学的な定式化方法が異なるので、本節では定義を厳密に記述する為、射影作用素Pkを用いて密度行列を定義した。 また上の定義では、 | ψ 1 ⟩ {\displaystyle |\psi _{1}\rangle } 、 | ψ 2 ⟩ {\displaystyle |\psi _{2}\rangle } 、…が正規直交系をなしている事を仮定したが、必ずしもこれは必須ではない。しかし正規直交ではない | ψ 1 ⟩ {\displaystyle |\psi _{1}\rangle } 、 | ψ 2 ⟩ {\displaystyle |\psi _{2}\rangle } 、…に対して同様に密度行列を定義したとしても、必ず完全正規直交基底の表現に書き換えられる事が知られている(次節の別定義との同値性から従う)。
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