実験値から定義値へ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/30 09:28 UTC 版)
「モルプランク定数」の記事における「実験値から定義値へ」の解説
アボガドロ国際プロジェクト(および産業技術総合研究所)は、2015年から2017年にかけてアボガドロ定数の実験値を4つ報告した。プランク定数についてもキッブルバランス法で求めた実験値が、米国標準技術研究所(2015年と2017年)、カナダ国立研究機構(英語版)(2017年)、フランス計量研究所(フランス語版)(2017年)から報告された。 2017年当時のモルプランク定数のCODATA推奨値は、 NAh = 6990399031271100000♠3.9903127110(18)×10−10 J s mol−1 である。この値とX線結晶密度法で測定した NA の値から関係式 h = NAh/NA を使って計算したプランク定数を、キッブルバランス法により求められた値とともに表に示す。測定原理がまったく異なるふたつの方法で求めたプランク定数の値がよく一致していることが、この表から分かる。 プランク定数の定義値の決定に採用された実験結果データIDプランク定数測定方法NIST-15 6966662606940000000♠6.6260694×10−34 J s キッブルバランス法 NRC-17 6966662607010000000♠6.6260701×10−34 J s キッブルバランス法 NIST-17 6966662606990000000♠6.6260699×10−34 J s キッブルバランス法 LNE-17 6966662607040000000♠6.6260704×10−34 J s キッブルバランス法 IAC-11 6966662606990000000♠6.6260699×10−34 J s X線結晶密度法 IAC-15 6966662607020000000♠6.6260702×10−34 J s X線結晶密度法 IAC-17 6966662607040000000♠6.6260704×10−34 J s X線結晶密度法 NMIJ-17 6966662607010000000♠6.6260701×10−34 J s X線結晶密度法 これら8つの実験データに基づいてCODATAは、プランク定数とアボガドロ定数の最も確からしい値を、 h = 6966662607015000000♠6.626070150(69)×10−34 J s NA = 7023602214075800000♠6.022140758(62)×1023 mol−1 と決定した。これらの不確かさ付きの値は、2017年の特別調整値と呼ばれる。この特別調整値に基づいて不確かさをゼロにした値が、SI基本単位の再定義 (2019年)において定義値とされた値である。 h = 6966662607015000000♠6.62607015×10−34 J s(厳密に) NA = 7023602214076000000♠6.02214076×1023 mol−1(厳密に) 厳密に定義されたプランク定数の値は新しいキログラムの定義に、厳密に定義されたアボガドロ定数の値は新しいモルの定義に、それぞれ用いられることとなった。 この2つの物理定数の積であるモルプランク定数も、同時に定義定数となった。現在の値は、 NAh = NA × h = 6990399031271289343♠3.9903127128934314×10−10 J s mol−1(厳密に) である。
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