存在価値はなぜ、社会問題発生の原因となり得るのか?
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/26 03:24 UTC 版)
「存在価値」の記事における「存在価値はなぜ、社会問題発生の原因となり得るのか?」の解説
なぜなら、人は自己の存在価値が確保できないとき、自己を「存在」とするために、つまり「実体的存在幻想」を確保して、精神的安定(安心立命)を得るために、反社会的な行為に訴えてでも自己の存在価値を確保しようとするからである。まさに「存在価値問題」とは「存在問題」そのものなのである。このことこそが現代において社会問題を多発させている原因であろう。 伝統的な共同体で社会問題が少なかったのは、そこでは「自己実現の自由」は極度に制限されていたから、現代のような「成りたい自分に成れる自由」はなかったが、自己が共同体内に組み込まれている限り、そこでの「存在価値」は保証されていた。つまり、共同体が成員の存在価値自動構成装置として機能していたからである。しかし、都市化はその存在価値自動構成装置を崩壊させてしまったから、各自が自己の存在価値を証明、確保し、自己存在を構成しなければならなくなったのである。現代人は自己を存在とし、精神的安定(安心立命)を得るために自己の存在価値を求めずにはいられなくなっているのだ。そして、現代は人の存在価値確保への欲望を否定、抑圧できる時代ではないから、様々な社会問題が発生することは避けがたいのである。
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