始代数の例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2013/12/28 13:32 UTC 版)
例えば、集合の圏 Set において、終対象である一元集合を 1 として、自己関手 1 + (–):: X → 1 + X を考える。この自己関手 F に対する F-代数とは、集合 X(これをこの代数の台集合と呼ぶ)とその点 x ∈ X (あるいは同じことだが写像 x: 1 → X) および自己写像 f: X→X の組 (X, [x, f]) のことを言う(紛れの虞の無い場合にしばしば、この組のことを記号の濫用により台集合と同じ記号のみを以って代用し「始代数 X」などと言い表す)。この場合の始代数は、自然数全体の成す集合 N を台集合とし、その最小元 0 と後者関数 succ からなる組 (N, [0, succ]) で与えられる。 この始代数 (N, [0, succ]) が実際に始対象性(この場合は普遍性)を持つことを確かめるのは難しくない。実際、(N, [0, succ]) から勝手な F-代数 (A, [e, f]) (e ∈ A, f: A → A) へのただ一つの準同型射は、自然数 n に対して e に f を n-回反復適用した fn(e) (= f(f(…(f(e))…)) を対応付ける函数によって与えられる。 別な例として、集合の圏上の自己関手 1 + N×(–):: X → 1 + N×X を考えると、この自己関手に対する代数とは、集合 X とその上の点 x ∈ X および関数 f: N × X → X の組 (X, [x, f]) のことになる。この場合の始代数は、自然数を要素とする有限な長さのリスト全体の成す集合、その点としての空リストおよび自己写像 cons(与えられた自然数と有限リストから、その自然数をリストの先頭に付け加えてえられるリストを返す函数)の組で与えられる。
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