太秦発声映画とは? わかりやすく解説

太秦発声映画

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 16:19 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動

太秦発声映画株式会社(うずまさはっせいえいが、1933年 設立 - 1936年 製作中止)は、かつて京都に存在した映画会社である。先進的なトーキーシステムを輸入したJ.O.スタヂオの敷地内に設立し、日活との提携で先駆的にトーキー映画を製作、日本映画の新しい時代を切り開いた。

略歴・概要

1933年(昭和8年)3月、大沢商会J.Osawa Co., Ltd.)が京都・太秦蚕の社に貸しスタジオ「J.O.スタヂオ」を建設・開所、同社社長・大澤徳太郎の長男・大澤善夫が輸入したトーキーシステムを導入した先進的なものであった。日活京都撮影所長を辞任した池永浩久をJ.O.スタヂオの顧問に迎え、池永が同所内に設立したのが、この「太秦発声映画」である。

設立第1作は、池永総指揮、池田富保監督、早川雪洲主演の『楠正成』で、同作は同年6月1日に公開された。マキノ正博マキノトーキー製作所を設立しトーキーを量産し始める1935年(昭和10年)からは、多く日活と提携製作をした。どの監督もトーキー演出になかなか慣れず、斬新な演出で知られた古海卓二志波西果もトーキーに敗れ去り、古海は古市極東映画、志波は奈良全勝キネマへと都落ちし、サイレント映画に退行してしまう。

1936年(昭和11年)には、トーキー脚本に力を見せた脚本家グループ「梶原金八」(鳴滝組)のメンバーである山中貞雄を起用、山中が『河内山宗俊』を日活との提携で撮り、また、その弟子の助監督萩原遼が、山中の原作を得て自ら脚色し、高勢実乗を主演にした『お茶づけ侍』で監督としてデビューした。

やがて、J.O(大沢商会)が東宝映画配給と配給提携を進めるにいたって、太秦発声は、同年一杯をもって製作を中止した。最後の作品は辻吉朗監督、大城龍太郎・深水藤子主演の『お嬢さん浪人』で、同作は翌1937年(昭和12年)1月28日、日活の配給で公開された。同年、J.O.スタヂオは4社合併で東宝映画を設立、スタジオごと「東宝映画京都撮影所」となっていく(1941年閉鎖)。

フィルモグラフィ

1933年

  • 楠正成 監督池田富保
  • 決戦高田の馬場 監督池田富保 ※J.O提携
  • 彼女のイット 監督俵弦太郎

1934年

1935年

  • 小猿時雨 深川情話 監督小石栄一
  • 理想郷の禿頭 監督古海卓二
  • 紺屋高尾 監督志波西果
  • なみだの母 監督永富映次郎
  • 髑髏飛脚 監督志波西果
  • 海国大日本 監督阿部豊 ※日活・共同映画・J.O提携
  • 地雷火組 監督志波西果 ※日活提携
  • 清水次郎長 監督池田富保
  • さむらひ鴉 監督池田富保 ※日活提携
  • あばれ行燈 監督渡辺邦男
  • 追分三五郎 監督辻吉朗 ※日活提携
  • 敵討三都錦絵 監督児井英男・池田富保 ※日活提携

1936年

  • 新佐渡情話 監督清瀬英次郎 ※日活提携
  • 石童丸 監督辻吉朗
  • 赤道越えて 監督円谷英二
  • 大久保彦左衛門 第一篇 監督清瀬英次郎 ※日活提携
  • 新曲五郎正宗 監督池田富保 ※日活提携
  • 大久保彦左衛門 第二篇 監督児井英男 ※日活提携
  • 河内山宗俊 監督山中貞雄 ※日活提携
  • 馬追ひ人生 上州篇 監督池田富保
  • 江戸囃男祭 監督辻吉郎 ※日活提携
  • 満州義軍 花大人 監督田中喜次 ※J.O提携
  • お茶づけ侍 監督萩原遼 ※日活提携
  • 弦月浮寝鳥 監督辻吉朗 ※日活提携
  • 鼠小僧唄祭 監督尾崎純 ※日活提携
  • 南紀州 撮影木村角山、音楽白木信義、編集永富映次郎 ※短篇
  • 仇討禁止令 監督益田晴夫 ※日活提携
  • 堀部安兵衛 監督益田晴夫

1937年

  • あばれ獅子 後篇 監督石橋清一
  • お嬢さん浪人 監督辻吉朗

関連事項

外部リンク


太秦発声映画

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/12 20:20 UTC 版)

児島武彦」の記事における「太秦発声映画」の解説

トーキーである。 『荒木又右衛門 天下伊賀越』 : 総指揮池永浩久監督勝見庸太郎原作・脚本山上伊太郎撮影円谷英二河崎喜久三、編集石野誠三1934年6月28日公開 - 青山伯耆守

※この「太秦発声映画」の解説は、「児島武彦」の解説の一部です。
「太秦発声映画」を含む「児島武彦」の記事については、「児島武彦」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「太秦発声映画」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「太秦発声映画」の関連用語

太秦発声映画のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



太秦発声映画のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの太秦発声映画 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの児島武彦 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS