天使と裁判官
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 15:54 UTC 版)
七十人訳聖書には、ヘブライ語のエロヒムを複数動詞と共に使ったり、または文脈上、エロヒムを指して「天使たち angeloi」、「神の裁判官たち kriterion tou Theou」など、複数であることを示唆する記述もある。これはラテン語の聖書であるウルガータ、英ジェームズ王の欽定約聖書 (KJV)でも、複数形「天使 angeles」と「裁判官 judges」として記される。米聖書研究家ジェームス・ストロングは、「天使」と「裁判官」を、エロヒムが複数で扱われる例として挙げた。ゲゼニウスが編纂したヘブライ語辞書とブラウン・ドライバー・ブリッグス辞書では、エロヒムが神の他に意味する可能性があるものとして、天使と裁判官を挙げる。 しかしゲゼニウスや独神学者エルンスト・ウィルヘルム・ヘングテンベルクは、七十人訳聖書の信ぴょう性を疑問視する。ゲゼニウスの場合、エロヒムが意味する可能性を提示しながら、彼自身はその解釈に同意していない。ヘングステンベルクの主張では、へブライ語聖書ではエロヒムが「天使」を指すことはないのに、七十人訳聖書でそのように翻訳されることの不自然さを指摘した。 しかし、ヘブライ語聖書やそれ以外の文学で引用される天使と堕天使には、マイケル(大天使)、ガブリエル、サマエルなど、神を表す語根エール(אֵל)を含む名前も多く存在する。
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