増田直紀とは? わかりやすく解説

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増田直紀

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/05 18:27 UTC 版)

ますだ なおき
増田 直紀
生誕 (1976-01-19) 1976年1月19日(49歳)
日本 東京都八王子市
居住 アメリカ合衆国 ニューヨーク州
国籍 日本
研究分野 複雑ネットワーク数理生物学
研究機関 ニューヨーク州立大学バッファロー校
出身校 東京大学
プロジェクト:人物伝
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増田 直紀(ますだ なおき、1976年1月19日 - )は、日本アメリカ合衆国数学者。学位は、博士(工学)東京大学、2002年)。ミシガン大学教授。

経歴

東京都八王子市出身。

21歳まで海外に行った経験がなく、24歳でアメリカに1年間留学するまでは英語も話せなかったが、大学4年生のときに、国際ワークキャンプを行う団体(国際NGO NICE)を知り、海外や国内のワークキャンプに行くようになった。様々な国の人との共同生活、ボランティアなどの活動を通じて海外への興味が強くなり、その後の留学、海外での研究などに発展した[1]

略歴[2]

研究論題

  • 複雑ネットワーク (人のつながり方,コンピュータのつながり方などの理論と実際)
  • 間欠的な相互作用に基づく社会ダイナミクスの数理モデリング
  • 同調現象の数理モデル解析

ジェンダー不均衡

日中韓の研究者の性差についての解析を行い論文[3]を発表。プレスリリース[4]朝日新聞社[5][6]などに取り上げられた。

研究概要

  • 分析対象: 約1億件の論文データ(1950〜2020年出版)。日中韓の研究者性差を(1)研究者数の男女比、(2)個々のキャリア、(3)論文引用・被引用回数から解析。
  • 性別推定手法: 日中韓の名前から性別を90%以上の精度で推定する独自方法を開発。

発見

  • 研究者数の男女比: 日中韓で男性研究者が女性より多い不均衡が確認。特に日本で中国・韓国より顕著(男性過多の度合いが大きい)。
  • 総論文数: 個々の研究者がキャリアを通じて発表した論文数。日本では男性 > 女性(性差が中国・韓国・他国より大きい)。中国・韓国では男性 > 女性(日本より小さい)。
  • 被引用インパクト: 出版論文の被引用回数に基づく影響力指標。日本では男性 > 女性。中国・韓国では女性 > 男性。
  • 年平均発表論文数: 1年当たりの発表ペース。日中韓・他国で性差ほとんどなし。
  • キャリア長: 研究活動の継続期間。日本・中国・韓国・他国で男性 > 女性。これが総論文数の男女差の主因と推測。
  • 男性主導論文: 第一著者または最終著者が男性の論文。日中韓の論文で過多に引用される傾向。
  • 女性主導論文: 第一著者または最終著者が女性の論文。日中韓の論文で過少に引用される傾向。特に日本で過少引用の度合いが最大(韓国が僅差で続き、中国では日韓より小さい)。

示唆

  • 性差の要因: キャリア長の男女差が論文生産性の格差を生む。日本特有の構造的バイアス(引用の偏り)が影響力格差を助長する可能性。

受容

  • 特に、"男性研究者が主導する論文...を過多に引用し、女性研究者が主導する論文...を過少に引用する傾向が日中韓でみられ、とりわけ女性主導論文の過少引用は日本が最も強かった。"という点は刺激的であり X 上で339万回以上閲覧された投稿もあった[7]。これに対しての応答として「「知り合いの論文を引用文献として選ぶ傾向にあって、男性の知り合いは男性が多いので、男性は男性の論文を優先して引用する」となってるのでは?」[8]「比較的男性の多い学会において男性の引証が多くなるのは必然」[9]「「女性の多い分野の研究者人口/査読論文投稿が国ごとに違う」と考える方が妥当と思われる。」[10]といった解釈が見受けられた。

著書

和書[11]

単著

共著

  • 『複雑ネットワークの科学』産業図書 (2005年) 増田直紀、今野紀雄 著
  • 『「複雑ネットワーク」とは何か』講談社(2006年)(ブルーバックス)増田直紀、今野紀雄 著
  • 『複雑ネットワーク』近代科学社(2010年)増田直紀、今野紀雄 著

訳書

 高口太郎 訳、増田直紀 監訳(Guido Caldarelli, Michele Catanzaro 著)

英書

  • 『A Guide to Temporal Networks』World Scientific, Singapore (2016)

 Naoki Masuda, Renaud Lambiotte.

  • 『Temporal Network Epidemiology』Springer, Singapore (2017)

 Naoki Masuda, Petter Holme

脚注

  1. ^ 『海外で研究者になる』/増田直紀インタビュー”. 中公新書. 2019年10月10日閲覧。
  2. ^ 経歴 | 増田直紀”. www.naokimasuda.net. 2022年6月27日閲覧。
  3. ^ Nakajima, Kazuki; Liu, Ruodan; Shudo, Kazuyuki; Masuda, Naoki (2023-11-01). “Quantifying gender imbalance in East Asian academia: Research career and citation practice”. Journal of Informetrics 17 (4): 101460. doi:10.1016/j.joi.2023.101460. ISSN 1751-1577. https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1751157723000858. 
  4. ^ 日本は学術界でもジェンダー不均衡が強い!? | 神戸大学ニュースサイト”. 国立大学法人 神戸大学 (Kobe University). 2025年10月5日閲覧。
  5. ^ 学術界のジェンダー不均衡、日本が最も大きく 約1億本の論文を解析:朝日新聞”. 朝日新聞 (2024年1月16日). 2025年10月5日閲覧。
  6. ^ 学術界の性差、中・韓・欧米より深刻 日米チーム、論文1億本解析 日本の発表数、女性が4割少なく:朝日新聞”. 朝日新聞 (2024年2月2日). 2025年10月5日閲覧。
  7. ^ akupiyocco on X: ""男性研究者が主導する論文...を過多に引用し、女性研究者が主導する論文...を過少に引用する傾向が日中韓でみられ、とりわけ女性主導論文の過少引用は日本が最も強かった。"” (2025年10月6日). 2025年10月6日閲覧。
  8. ^ 元素学たん@noteで連載継続中 on X: "「著者の性別を見ながら引用文献選んでるわけないだろ!」という反論が山のようにあるんだけどそうじゃなくて、私の仮説は「知り合いの論文を引用文献として選ぶ傾向にあって、男性の知り合いは男性が多いので、男性は男性の論文を優先して引用する」となってるのでは?というやつです。" / X” (2025年10月6日). 2025年10月6日閲覧。
  9. ^ ゆさぴす🌌 on X: "何となく卒論の引証リストを見たら圧倒的に女性が多かった 性別によって興味関心分野が偏るのであれば、比較的男性の多い学会において男性の引証が多くなるのは必然  いやてかやっぱり学会は男女で人数差があるので男性の引用が多いのは当然なんだよなこれほんと意味ない" / X” (2025年10月6日). 2025年10月6日閲覧。
  10. ^ シータ on X: "論文の著者は通常名字で呼ばれていて、R. Smithみたいに言及して名前を知らない場合もあるので、引用時にそもそも性別が不明な場合は多く、引用元の仮説は成り立たないだろう。「女性の多い分野の研究者人口/査読論文投稿が国ごとに違う」と考える方が妥当と思われる。https://t.co/q7cGQKZLvp" / X” (2025年10月6日). 2025年10月6日閲覧。
  11. ^ 日本語論文等リスト | 増田直紀”. www.naokimasuda.net. 2019年2月23日閲覧。



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