基本対称式の代数的独立性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/03 04:32 UTC 版)
n 個の変数 x1, ... , xn に関する対称式 f(x1, ..., xn) は基本対称式たち σ1, ... , σn に関する多項式 P によって表すことができるが、この P は f に対して一意的に定まる。つまり、基本対称式たちは係数環上代数的独立だということになる。 証明は変数 x1, ... , xn の数 n と、対称式の次数に関する帰納法によって行われる。n - 1変数の多項式 Q(s1, ..., sn - 1) で、基本対称式 σ1(x1, ... , xn - 1), ..., σn - 1(x1, ... , xn - 1) を代入して 0 になるようなものは si たちの多項式としてすでに 0 になることが示せていたとする。 P(s1, ..., sn) を n 変数の多項式で基本対称式を移入したときに零になる P(σ1,..., σn) = 0 ようなものとする。このとき特に、P(σ1,..., σn) をxiたちに関する多項式と見なして xnに0を代入したものも 0 になる。 xnに 0 を代入することでσ1,..., σn - 1 は n - 1変数x1, ... , xn - 1についての基本対称式になり、一方 σn は 0になる。したがって P(σ1, .., σn-1, 0) であり、帰納法の仮定によって n - 1 変数の多項式 P(s1, ..., sn - 1, 0) は 0に、つまりP(s1, ..., sn) は snで割りきれるということになる。従ってP = R(s1, .., sn) sn なる多項式 Rが得られるが、R に基本対称式たちを代入すると 0 になる。この操作を続けると任意の自然数 m について P は snm で割りきれるということになるが、そうなっているためには P は 0 でなければならない。
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