地盤内における多相流問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/09/04 07:21 UTC 版)
地盤内における多相流問題は、気液二相流問題と異なり、流体の輸送速度が非常に遅い点が特徴である。有機溶剤は難水溶性溶液と呼ばれることもあり、通称NAPL (Non-Aqueous Phase Liquid) と称される。その中で、水よりも比重が小さいものと大きいものに分類され、重いものを Dense-NAPL (DNAPL)、軽いものを Light-NAPL(英語版) (LNAPL) と称される。 例えば、DNAPLの代表はトリクロロエチレンで、地表面で漏出した場合、地下水層よりも下に貯留し、地下水の流れの影響を受ける挙動は混相流(あるいは多相流)として扱われる。また、LNAPLの問題は、地表面でガソリンなどが漏出した場合に相当し、地下水表面に貯留されて地下水の流れの影響を受ける。DNAPLが地盤底部(不透水層)において貯留後に生じる挙動は、基本的に地下水下の挙動であるために、地盤条件は飽和状態とみなすことができる。しかし、LNAPLの場合、地下水上面に貯留するため、地盤条件は厳密には不飽和状態になる。この場合、LNAPLの挙動は水とLNAPLの挙動に加えて、厳密には気化したガスの挙動を考慮する必要があり、そのメカニズムは複雑となる。力学的には、数理モデルが構築されているが、実験と整合性については今後追求の余地があるといえる。
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