噂と毛づくろい仮説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/03 08:19 UTC 版)
ロビン・ダンバーによれば、噂は集団生活するヒトにとって、他の霊長類で毛づくろいがなしているのと同じ役割を担う―つまり噂のおかげで個々人が自分の人間関係を点検することができ、そのため「あなたが私の背中を掻いてくれたら私はあなたの背中を掻いてあげます」という原則に基づく友好関係を維持することができるのである。人類がまずまず大きな社会集団で生活し始めたために、知人友人全員と毛づくろいしあうという債務は不可能なほど時間がかかるようになった。この問題に対して、人類は「楽にできて非常に能率的な毛づくろい」―「声での毛づくろい」を発明した。今や、仲間を幸せにさせるためには手間のかからない音声による毛づくろいだけを行えばよい。それのおかげで、手は自由に他の債務をこなしつつ複数の仲間に同時に奉仕することができる。声での毛づくろいは徐々に言語―最初の内は「噂」という形―に進化していった。 この理論を批判する者は、まさに「声での毛づくろい」の効率―言うは易しという事実―は時間と手間のかかる手での毛づくろいによって伝達される類の信号による参加の能力をひそかに害してきたと指摘する。さらなる批判として、声での毛づくろい―喜ばせることはできても意味のない音声を出すこと―から認知的に複雑な構文の規則に従った発話への決定的な変化に関してこの理論は何も説明していないというものがある。
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