和名の対象について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/02/01 08:47 UTC 版)
「ハリエダケカビ」の記事における「和名の対象について」の解説
実のところ、日本ではカビ類にはほとんど属のレベルでしか和名が与えられていない。それがこれに限って二つあるのは、かつてはそれらが別属と考えられていたからである。すなわち、先端に大きな胞子のうをもち、その柄の側面から多数の小枝を出してその先端に小胞子のうをつける種類のうち、Helicostylum属には小胞子のうの枝が巻蔓状になる種が含まれ、これにはマキエダケカビの名を与えた。もう一つのChaetostylum属には小枝の先端に針状突起をもつ種が含まれたので、これがハリエダケカビという名となった。歴史的にはHelicostylumがまずエダケカビ属 Thamnidium に類似の別属として提示され(Corda 1842)、その後に Chaetostylum がそれに近縁の別属として提案された(van Tieghem & Le Monnier 1873)。さらに、それぞれに数種が次第に追加された。 ところが、種数が増え、詳細に研究が進むにつれ、株ごとの変異が大きく、この両者の区別が不明確になった。針状突起を持ちながら、小胞子のうの柄が巻蔓状になるものがあるのである。結果として、この二つの属を区別することはできないとしてChaetostylum属はHelicostylumのシノニム扱いとなった。こうして、和名を与えられた二つの群が一つにまとまってしまうこととなった。 他方で、それ以外の点でより重要な差異がある群が含まれているとの指摘が出た。そこでHelicostylum属からThamnostylum属が分離された(Arx & Upadhyay 1970)。ここで分けられたものは、匍匐菌糸があること、大型の胞子のうにも小胞子のうにもアポフィシスがあること、低温性ではないことなどが挙げられる。後にもう1属が区分されている(後述)。 という訳で、現在はこれらの和名がどれを指せばよいかがはっきりしていない。
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