吾輩は猫であるとは? わかりやすく解説

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吾輩は猫である

(吾輩ハ猫デアル から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/12 04:31 UTC 版)

吾輩は猫である』(わがはいはねこである)は、夏目漱石長編小説であり、処女小説である。1905年(明治38年)1月、『ホトトギス』にて発表されたのだが、好評を博したため、翌1906年(明治39年)8月まで継続した。上、1906年10月刊、中、1906年11月刊、下、1907年5月刊。


注釈

  1. ^ 第1回、第2回の連載号は完売し、夏目の「坊つちやん」と同時掲載となった第10回掲載号は5,500部を発行するに至る。これは総合雑誌「中央公論」と同程度であった。
  2. ^ 『吾輩は猫である』の内容が『牡猫ムルの人生観』に影響を受けているかについては、影響を受けているとする藤代素人秋山六郎兵衛板垣直子らの論と、着想を得たのみで内容にまでは影響を受けていないとする吉田六郎石丸静雄らの論とが混在する。
  3. ^ 丸谷才一仙台文学館の初代館長になった井上ひさしに電話をかけ、19世紀初頭によく読まれた『ポピー・ザ・リトル』という俗小説が、子犬が上流から下流階級まですべてを見て回りその見聞を猛烈な社会批判にしているという内容で、漱石がこれを知って『吾輩』を書いたと考えられると言った。すると東北大学の漱石文庫にはないが、これを評価したTHE ENGLISH NOVEL(Walter Raleigh)があるので、何らかの印がないか学芸員に見てきてもらえないかとひさしは依頼した。翌日、学芸員が確認すると、『ポピー・ザ・リトル』の項に、はっきりと線が引かれていた(笹沢信『ひさし伝』新潮社 2012年 pp.390f.)。
  4. ^ 当時、漱石宅に隣接していた私立郁文館学校、現在の郁文館中学校・高等学校がモデルとされる。
  5. ^ Samuel Haughton "On Hanging Considered from a Mechanical and Physiological Point of View" (The Internet Archive) 寺田寅彦 『夏目先生の追憶』に紹介の経緯が書かれている。寺田は「レヴェレンド(Reverend、日本語の「師」にあたる聖職者の尊称)・ハウトン」としているが、正確には、サミュエル・ホートンen:Samuel Haughtonである。 論文の概要については、寅彦の弟子である中谷宇吉郎の 『寒月の「首縊りの力学」その他』を参照。

出典

  1. ^ あるいは「落語(高等落語)的」集英社文庫「吾輩は猫である」下、解説・石崎等、P.290
  2. ^ 寒川鼠骨が朗読したと漱石は証言している。座談「文学談」(明治39年9月「文学界」)。(参考)角川文庫『吾輩は猫である』巻末付録、P.561
  3. ^ a b c d e 『週刊YEARBOOK 日録20世紀』第85号 講談社、1998年、27-29頁
  4. ^ 集英社文庫「吾輩は猫である」下、解説・石崎等、P.291。
  5. ^ 一方で明治41年9月「文章世界」に漱石は『処女作追懐談』を公表し、その中で「始めて『吾輩は猫である』というのを書いた。ところが虚子がそれを読んで、これはいけませんと云う。訳を聞いて見ると段々ある。今はまるで忘れて仕舞ったが、兎に角もっともだと思って書き直した。」と書いている。(参考)角川文庫『吾輩は猫である』巻末付録、P.560
  6. ^ 集英社文庫「吾輩は猫である」下、解説・石崎等、P.P.287-288。
  7. ^ なお動物が語り部となる動物寓話の系譜は欧州では珍しくなくイソップにも多くの類例が採録されている。
  8. ^ 伊藤整は新潮文庫版『吾輩は猫である』の解説において、「しかしこういう筋の発展のない小説を十一回にもわたって漱石が確信をもって書いたということは、彼が『トリストラム・シャンディーの生涯と意見』のような小説があることを知っていたことから来ていることは明らかである。」と記した(p.609、2004)。
  9. ^ 丸谷才一『思考のレッスン』文春文庫、p.203、2012。
  10. ^ 神田お散歩MAP 夏目漱石の碑”. 株式会社ライト. 2017年4月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年4月23日閲覧。
  11. ^ 「猫」第一が公表されると、漱石のまわりではモデルについての評判が立てられたようで、漱石は門下生の野間真綱にあてて「猫伝中の美学者は無論大塚の事ではない大塚は誰が見てもあんな人ぢゃない。…主人も僕とすれば僕他とすれば他どうでもなる。」と書いている(明治38.1.1付書簡)。(遠藤祐 1960, p. PDF. 4)
  12. ^ 集英社文庫「吾輩は猫である」下、P.183。
  13. ^ 江川義雄『広島県医人伝』(PDF)江川義雄、1986年http://www.hiroshima.med.or.jp/ishikai/docs/ijinden1.pdf [リンク切れ]
  14. ^ 斎藤晴惠「尼子四郎と夏目漱石」『医学図書館』第53巻第1号、日本医学図書館協会、2006年、60-64頁、CRID 1390282679254036096doi:10.7142/igakutoshokan.53.60ISSN 04452429 
  15. ^ 「医学情報 110年の蓄積」日本経済新聞、2013年6月21日44面
  16. ^ 「御三」とは台所で働く下女の通称でおさんどんとも呼ぶ。また台所仕事そのものを御三とも表現する。なお近世末頃に上方では「おきよ(どん)」、江戸では「おさん(どん)」と呼称したことが「随・皇都午睡-三・中」に記述されている。精選版日本語大辞典「御三」[1]
  17. ^ 坂本宮尾「この道をかくゆく : 近代女性俳人伝(2)博多の文芸サロンの女主人……久保より江」『俳壇』第36巻第2号、東京 : 本阿弥書店、2019年2月、135頁、CRID 1521699230693869696国立国会図書館書誌ID:029443329 
  18. ^ 集英社文庫「吾輩は猫である」下、解説・石崎等、P.294
  19. ^ 石崎等によれば「物語全般の枠組みは断片的で纏まりがなく、またストーリーの展開についてあまり関心がもたれない。あえて主な筋をたどるとしたら、実業家の娘金田富子に惚れられる理学士寒月の縁談話ということになるであろう」としている。集英社文庫「吾輩は猫である」下、解説・石崎等、P.302
  20. ^ 河野豊「翻訳一斑」『別府大学紀要』第56巻、別府大学会、2015年2月、1-9頁、CRID 1050001337845799168ISSN 0286-4983  p.2 より
  21. ^ 佐々木亜紀子「『吾輩は猫である』の土壌 : 響き合うことば」『愛知淑徳大学国語国文』第29号、愛知淑徳大学国文学会、2006年3月、55-69頁、CRID 1050282676651661696hdl:10638/1846ISSN 0386-7307 
  22. ^ 『猫』に於けるような滑稽趣味を漱石が抱懐するようになったのは、その俳諧精神と英文学的ユーモアとがあずかって力があったであろう。角川文庫「吾輩は猫である」解説・山本健吉、P.546
  23. ^ 鎌野多美子「夏目漱石と藤代素人―『吾輩ハ猫デアル』を巡って―」『国際研究論叢 : 大阪国際大学紀要』第30巻第3号、守口 : 大阪国際大学、2017年3月、33-52頁、CRID 1050001338402580096ISSN 09153586  脚注92 より
  24. ^ 郁文館夢学園理事長・校長ブログ、宮﨑宏「郁文館と寄宿舎」2017.9.8[2]
  25. ^ 夏目漱石の猫の死亡通知」、岩波書店版『漱石全集第14巻』(書簡集、昭和41年発行)所収[3]
  26. ^ “名前はないが日本一有名な「吾輩(わがはい)」のモデルだった“”(「春秋」日本経済新聞2014年9月13日)。
  27. ^ 漱石文庫関係文献目録” (PDF). 東北大学附属図書館. 2012年11月25日閲覧。
  28. ^ 集英社文庫「吾輩は猫である」下、解説・石崎等、P.290
  29. ^ 決定版 三島由紀夫全集〈補巻〉補遺・索引. 新潮社. (2005年12月isbn=978-4106425837) pp.19-20
  30. ^ 三島由紀夫文学館**新資料紹介”. 三島由紀夫文学館. 2009年2月26日閲覧。
  31. ^ TBS公式サイト、吾輩は主婦である
  32. ^ 東京芸術祭2019「吾輩は猫であるについて」
  33. ^ 引田惣弥『全記録 テレビ視聴率50年戦争―そのとき一億人が感動した』講談社、2004年、220頁。ISBN 4062122227
  34. ^ 吾輩は猫である - メディア芸術データベース”. mediaarts-db.bunka.go.jp. 2022年12月17日閲覧。
  35. ^ 三四郎 (1920). それからの漱石の猫. 東京: 日本書院. https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000577174-00 
  36. ^ 三四郎 (1997). 續吾輩は猫である. 東京: 勉誠社. https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002628465-00 
  37. ^ 続吾輩は猫である 復刻https://honto.jp/netstore/pd-book_01461537.html 






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