向日葵は亡き母の背と同じ丈
作 者 |
|
季 語 |
|
季 節 |
夏 |
出 典 |
|
前 書 |
|
評 言 |
今年もまた向日葵の季節。作者は、ふと一本の向日葵に目を留める。亡くした母とちょうど同じぐらいの高さの向日葵。その向日葵に、あらためて母を偲び、そして母が自分にとって向日葵みたいな存在であったことに思い当たるのだ。そんな心情の流れがふわりと伝わってくるような一句。 作者の句集「冬夕焼」(平成二十年六月発行)は、平成十八年一月に逝去された御母堂に捧げられている。 端居せる母に電話の子機渡す 冬の虹母の義足を干しに出て 夕焼や母の寝顔を見て帰る 枇杷咲いていよよかぼそき母の声 春めくや母の遺影の微笑みも 母の手を引いて渡らむ春の虹 豆飯や父がぽつりと母のこと 亡き母に吾が名呼ばるる花野かな 深い悲しみの中で、くっきりと心に焼きついた母の姿。そして母の死後、生活の中でふっと甦る面影。それらを永遠に残すために俳句作品とした。 いま母を詠まむ風花消えぬ間に この句集を編むきっかけになった一句だという。「風花」の切なさと美しさに、いたく心揺さぶられた。 |
評 者 |
|
備 考 |
- 向日葵は亡き母の背と同じ丈のページへのリンク