名前とその表記の問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/23 04:43 UTC 版)
稲垣 千穎の「穎」は「えい」と音読みし、稲の穂先のこと。「千穎」とは無数の穂先のことで豊穣を表しており、同時に才知の豊かさを暗示している。「穎」という文字を用いた名前は、当時特に珍しい名前ではないが、「稲垣千穎」の場合、苗字の「稲」と「穎」が呼応して洒落た命名になる。偏の下部が「禾」の「穎」は正字、「示」の「頴」は俗字。俗字を用いて「稲垣千頴」と表記するのが一般的で、国立国会図書館近代デジタルライブラリーの書誌等もそうなっているが、稲垣の歌集『稲垣千穎詠草』、編著の教科書、谷中霊園の墓碑銘、官員録などは、すべて正字表記である。2006年(平成18年)に岩波書店から刊行された『教科書 啓蒙文集』(新日本古典文学大系《明治編》11巻 倉田喜弘校注)では、官員録を典拠として正字表記で統一している。なお、稲垣千穎と改名したのは気吹舎退塾後で、それ以前は、稲垣真二郎・稲垣元儀・源元儀などの名が用いられていた。
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