印鑑制度の限界
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 04:42 UTC 版)
「預金通帳」も参照 印鑑が安価に購入できる現代では本人確認の効力が薄れている。 例として、日本の金融機関では預金通帳と登録した印鑑を照合することで口座取引を可能としていた。この仕組みを実現するため、預金通帳の表紙裏面に、登録に用いた印章の印影を転写した印鑑票(副印鑑)が貼付されていた。銀行印の登録原票は口座開設店にあり、登録印鑑の照合ができるのはその店に限られる。そこで、通帳に副印鑑を貼り付けることで、他の店でも印影の照合、そして口座取引が可能となった。 ただし、印章と預金通帳があれば預金を引き出すことができるため、第三者による悪用を防ぐためには印鑑に用いた印章と通帳は別々に保管することが望ましいとされた。 しかし、副印鑑をスキャナで読み取って預金払戻し請求書にカラープリンタで転写したり印影から印章を偽造するなどして、登録に用いた印章を所持せず他人の口座から預金を引き出す手口が現れ被害が後を絶たないことから、副印鑑の貼付を廃止し、代えて登録原票をデジタル情報として蓄積し、いずれの本支店でも参照できるようにして、口座取引をどこでもできるようにする方法が普及しつつある。 2017年には印影をスキャンするのではなく、印面を光学センサーでスキャンしてデジタル情報と照合するシステムが登場し、三井住友銀行の一部店舗などで実際に使用されている。
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