制震技術の普及
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/11 04:03 UTC 版)
制震技術が開発された当初、その恩恵を受けることができたのは高層ビル・超高層ビルなど、もっぱら大型の建築物であった。制震装置も物件ごとにオリジナルのものを設計する必要があったり、構造解析にも手間と技量を要するなど、予算をかけなければ導入できなかった。 しかし現在では、耐震補強技術の一環として、一般戸建住宅や中規模の建築物を対象とし、規格化されたパッシブ制震パーツが開発されている。オイルダンパー・金属ダンパーなどの制震機構を組み込んだ筋交いなど、比較的簡易に取り付けられるものが存在する。しかし取り付け位置によっては制震効果がほとんど得られなかったり、逆に構造的なバランスを崩してしまうなど、不用意な利用はできない。 そもそも小規模な低層の建物においては、問題となる地震動の変位の大きさに比べて、破壊に至らないために許される層間変位が小さい。制振機構を取り付けた構造が強いのは、層間変位自体を抑える効果によるものであって、一般的な筋交いや構造用面材による補強と変わらない点に留意すべきであり、導入コストに見合ったメリットを得るのは難しい。
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