兵隊王の誇示
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/29 14:49 UTC 版)
この連隊、ポツダム近衛擲弾兵連隊は通常より1つ多い3つの大隊で編成され、かつ、兵士たちは全員が擲弾兵とされた。連隊の兵士たちは他の兵士よりずっと良い待遇を与えられ、特に背が高く王に気に入られた兵士には土地付きの家が贈られたり、結婚の世話まで受けることもあった。王はそういう気に入った兵士の肖像画を描かせたり、像を彫らせたりして宮廷に飾った。連隊はポツダムで閲兵行進や訓練検閲を行い、その様子をプロイセンに駐在する各国の外交官に見せた。一糸乱れぬその動きは彼らを唸らせたが、その感想は様々だった。プロイセン軍はとても強力だと感心する者もいたが、王の奇癖、道楽にすぎないと軽視する者もいた。たしかにこの連隊に限って言えば、これは王の道楽だった。 膨大な費用を費やして編成され維持されるこの連隊は、しかしその戦闘能力に疑問が持たれていた。費用対効果が見合わないばかりでなく、兵士たちを選抜する基準がもっぱら身長によったので、中には兵士としてふさわしくない(たとえば知的障害など)者も少なからず含まれていた。それでなくても誘拐されて無理やり兵士にされた者たちは、隙あらば逃げようとし、さもなくば王を殺してしまおうとすらした。あるとき閲兵において王は突然兵士の一人から発砲を受け、危ういところで弾は横にいた下士官に当った。そんなことがあっても、王はこの連隊を廃止しようとは思わなかった。
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