公衆送信権の内容を問題とする考え方
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 02:11 UTC 版)
「著作権の準拠法」の記事における「公衆送信権の内容を問題とする考え方」の解説
以上の議論とは別に、インターネットにおける著作権侵害の事案は、専ら公衆送信権の問題であること及び著作権の効力の属地主義を前提とした上で、公衆送信権の内容を重視する考え方がある。公衆送信権とは言っても、送信する行為が権利内容とされているのか公衆に受信させる行為が権利内容とされているのかは各国により異なるため、著作物の利用行為地を発信国とすべきか受信国とすべきかという議論自体が不適切という問題意識に基づく。 例えば、サーバが所在するA国から公衆送信された著作物がB国で受信された場合を考えると、送信国であるA国著作権法の公衆送信権が「送信する行為」を権利内容としているのであれば、A国における公衆送信権侵害の問題が生じ得るが、「公衆に受信させる行為」を権利内容としているのであれば、B国内の受信行為にA国著作権法を適用することはできない(著作権の効力の属地主義に基づく帰結)。そして、受信国であるB国著作権法の公衆送信権が「送信する行為」を権利内容とするのであれば、A国内の送信行為にB国著作権法を適用することはできず、「受信させる行為」を権利内容とするのであれば、B国における公衆送信権侵害の問題が生じ得ることになる。 この見解に対しては、渉外的私法関係については、実質法の適用の前に必ず準拠法の選択という問題があるはずであり、準拠法の選択の問題を抜きにしていきなり実質法の解釈を問題にするのは、国際私法に関するルールを無視するものであるとの批判が考えられる。
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