偏角の計算規則
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/21 13:52 UTC 版)
偏角に関する等式 arg(zw) = arg(z) + arg(w) は、両辺の差が 2π の任意の整数倍であることを除いて成り立つ等式であることに注意しなければならない。 例えばarg(z2) = arg(z) + arg(z) = 2 arg(z) において、もし各項が任意の偏角をとるものとしてしまうと、arg(z) = θ + 2nπ(n は任意の整数) と書けば、右辺は 2θ + 4nπ だが左辺は 2θ + 2mπ(m は任意の整数)となり厳密には等しくならない。 それを明示するために合同式の記法を流用してしばしば arg(zw) ≡ arg(z) + arg(w) (mod 2π) などとも書く。このように mod 2π に関して合同であるという理解は重要である。しかし、先述のように(適当なリーマン面上で)偏角をとるものと仮定すれば、2π の整数倍を加える不定性無く実際に等号が成り立つ。すなわち、三つの複素数 zw, z, w のそれぞれに対して独立に偏角をとるのではなく、ひとたび arg(zw) = arg(z) + arg(w) を満たすように偏角を一組選べば(例えば右辺の各項の値を決め、それによって左辺の値を定義すれば)、z あるいは w を連続的に変化させるとき、arg(zw) も連続的に変化して、そのような三点の近傍において常に厳密な意味で等号が成立する。 この注意の下で以下が成り立つ: arg(zw) = arg(z) + arg(w) arg(z/w) = arg(z) − arg(w) arg(zn) = n arg(z)(n は整数) 偏角の計算法則は対数のそれとほぼ同じであるが、それは複素対数函数の虚部が偏角に等しいことに起因している。
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