偏極のない局所周期写像
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/12/23 04:50 UTC 版)
f が固有(英語版)で X0 がケーラー多様体であるとする。ケーラー条件は未定であるので、U を縮めた後に、すべての U 内の b に対し、Xb はコンパクトでケーラーである。さらに U を縮めて、X0 が可縮であると仮定してよい。すると、X0 と Xb のコホモロジー群の間に同型がうまく定義できる。これらの同型は、X0 のホッジ構造と Xb のホッジ構造を保存することは、一般にはない。何故ならば、それらは微分同相写像から引き起こされたもので、双正則写像から引き起こされたものではないからである。FpHk(Xb, C) をホッジフィルトレーションの p番目のステップを表すとすると、Xb のホッジ数は X0 のホッジ数に等しいので、bp,k = dim FpHk(Xb, C) の数値(ベッチ数)は b とは独立である。周期写像 は写像 P : U → F = F b 1 , k , … , b k , k ( H k ( X 0 , C ) ) , {\displaystyle {\mathcal {P}}:U\rightarrow F=F_{b_{1,k},\ldots ,b_{k,k}}(H^{k}(X_{0},\mathbf {C} )),} であり、ここに F はすべての p に対し、次元が bp,k である部分空間の列の旗多様体(英語版)(flag variety)であり、次の写像が存在する。 b ↦ ( F p H k ( X b , C ) ) p . {\displaystyle b\mapsto (F^{p}H^{k}(X_{b},\mathbf {C} ))_{p}.} Xb はケーラー多様体であるから、ホッジフィルトレーションは、ホッジ-リーマンの双線型関係式 (Hodge–Riemann bilinear relations)を満たす。このことは H k ( X b , C ) = F p H k ( X b , C ) ⊕ F k − p + 1 H k ( X b , C ) ¯ . {\displaystyle H^{k}(X_{b},\mathbf {C} )=F^{p}H^{k}(X_{b},\mathbf {C} )\oplus {\overline {F^{k-p+1}H^{k}(X_{b},\mathbf {C} )}}.} であることを意味する。部分空間の旗多様体のすべてがこの条件を満足するわけではない。この条件を満たす旗多様体の部分集合を 偏極のない局所周期写像(unpolarized local period domain)と呼び、 D {\displaystyle {\mathcal {D}}} と書く。 D {\displaystyle {\mathcal {D}}} は旗多様体 F の開部分集合である。
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