交流バイアス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/19 00:46 UTC 版)
磁気記録媒体に使用される磁性体にはヒステリシスがあり直線性が悪い。しかし記録時に記録可能な上限周波数を超える高周波信号(オーディオ用では 50 - 200 kHz 程度)を重畳すると直線性が大幅に改善される。これは交流バイアスと呼ばれ、オーディオ用アナログテープレコーダーではほぼ不可欠な技術となっている。交流バイアス発明以前は直流バイアスが用いられていたが、交流バイアスの発明と特許期間の終了によってごく低価格のレコーダーを除き駆逐された。 重畳する交流バイアスの量によって特性が変化する。バイアス量を増やすと歪は低下するが、高域の感度が低下したり高域の最大記録レベルが低下したりするのでバランスをとる必要がある。 バイアス量を増やしていくと信号に対する感度は高くなるが、さらに増やすと逆に低下する。最大感度を与えるバイアス量をピークバイアスといい(ただし信号の周波数によりピークバイアスは異なる)、低い周波数でのピークバイアス付近が最適バイアスとして使われることが多い。ただし低い周波数ではバイアス量を変えても感度の変化がゆるやかな割に、高い周波数での特性はバイアス量をわずかに変えただけで大きく変わってしまい、判定が難しくばらつきも大きくなるので、実際には高い周波数の信号でピークバイアスを超えて感度が何デシベルか低下する値が使われたり、低い周波数と高い周波数の最大記録レベルの差などの方法でバイアス量が決められる。 媒体ごとにバイアス特性が異なるのでそれぞれに最適なバイアスがあるわけだが、互換性上取り決めがある場合が多い。
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