二重星AB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/02 07:09 UTC 版)
肉眼で見ると、はくちょう座β星は単一の星のように見える。しかし、望遠鏡で見ると、二重星であることがすぐに分かる。3等星のβ1星(β星A)は金色に見え、5等星のβ2星(β星B)は青色に見える。地球から見ると、2つの星は約35秒(わずかに広がりつつある)離れて色がはっきり異なり、天球上で最もコントラストの鮮やかな二重星の1つである(その美しさのため「北天の宝石」とも呼ばれ、宮沢賢治は「銀河鉄道の夜」でこの2つの星を、輪になって回るサファイアとトパーズになぞらえている)。 A星系とB星が、見かけ上の二重星なのか、真の連星系なのかは長年議論の対象となってきた。ヒッパルコス衛星の観測結果によれば、2つの星の固有運動は、方向こそ一致しているものの、値は誤差の範囲を超える約3倍ほどの差があった。そのため、はくちょう座β星が連星系であれば、約10万年の周期で公転しており、約6千億km(太陽と海王星の距離の約130倍)以上離れていると考えられた。2018年、ガイアの観測データ「Gaia Data Release 2(DR2)」に基づき、固有運動の大きさと向きがそれぞれ大きく異なることから見かけ上の二重星であるとする説が発表された。
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