二原子分子における数学的検討
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/15 23:09 UTC 版)
「速度論的同位体効果」の記事における「二原子分子における数学的検討」の解説
速度論的同位体効果の検討を行う1つの方法は、二原子分子を解析するものである。原子Aと原子B間の結合の基準振動振動数 ν は、これを調和振動子で近似すると ν = 1 2 π k μ {\displaystyle \nu ={\frac {1}{2\pi }}{\sqrt {\frac {k}{\mu }}}} ここで k は結合のバネ定数、μ は A−B 系の換算質量で、 μ = m A m B m A + m B {\displaystyle \mu ={\frac {m_{A}m_{B}}{m_{A}+m_{B}}}} である(mi は原子 i の質量)。量子力学的に、n 次の振動数のエネルギーは次の式で与えられる。 E n = h ν ( n + 1 2 ) {\displaystyle E_{n}=h\nu \left(n+{\frac {1}{2}}\right)} すなわち、ゼロ点エネルギー E0 は換算質量の増加に伴って減少する。ゼロ点エネルギーが低い場合、結合の開裂に必要な活性化エネルギーを超えるにはより多くのエネルギーを必要とする。 炭素−水素結合を炭素−重水素結合に置き換えるとき k は変化しないが、換算質量 μ が異なる。C−H を C−D に変える場合の換算質量は約2の比で変化する。つまり、C−D 結合の振動数は C−H 結合のおよそ 1 / 2 = 0.71 {\displaystyle 1/{\sqrt {2}}=0.71} 倍となる。これは炭素12を炭素13で置き換えるときよりも大きな変化である。
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