予定外の軌道修正
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/25 02:43 UTC 版)
ラヴェルはその後余った時間を利用して、様々な星を観測しコンピューターのキーボードでそのデータを入力して宇宙船の軌道を設定する操作を試してみたが、このとき彼は誤っていくつかのデータを消してしまった。その結果慣性計測装置 (Inertial Measurement Unit, IMU) が、宇宙船が発射前と同じ相対位置にいると判断してしまい、それを「修正」するために姿勢制御用ロケットを噴射してしまった。飛行士たちは、宇宙船が急にロケットを噴射して姿勢を変えてしまった理由にすぐに気がついた。彼らが直ちにやらなければならない作業は、コンピューターに正しい位置データを入力し直すことだった。 ラヴェルは姿勢制御ロケットを噴射してリゲルとシリウスの位置を観測し、宇宙船の位置データを計算したが、その作業に10分かかった。さらにそのデータをコンピューターに入力するのにさらに15分かかった。 この出来事から16ヶ月後、ラヴェルはより深刻な状況でもう一度同じ操作をやることになった。アポロ13号が月に向かう途中で爆発事故を起こし、電力を節約するためにIMUの電源を切らなければならなくなったのである。彼は1994年に著した「失われた月 (Lost Moon)」という本の中で、「8号での私のトレーニングは役に立った!」と書いていた。その中で8号でのアクシデントは地上のスタッフから要求された「計画的な実験」だったと書いていたが、その後のインタビューでは「あれは自分のミスが引き起こした事故だった」と認めている。
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