主題選択の背景
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/17 19:01 UTC 版)
「書斎の聖アウグスティヌス (カルパッチョ)」の記事における「主題選択の背景」の解説
主題の選択については、聖アウグスティヌスが同信会の守護聖人ではなく、またそもそもヴェネツィアでは聖アウグスティヌスはほとんど描かれなかったために、なぜ接点のない聖アウグスティヌスが選ばれたのかという疑問がある。この点について、ジェンティーリは発注者の要望で肖像を表すために聖アウグスティヌスが選ばれたとしている。 また選択の背景には同信会の会員にダルマチア、特にドゥブロヴニクの南のコトルやゼタ地方出身のスラブ人が多かったことと関係があるとする説がある。これらの地域は元来ギリシア正教が根強く、したがってヴェネツィアに移住したスラブ人もまた正教徒かあるいはカトリックに改宗した元正教徒が多かった。ところが同信会が設立された1451年当時、ヴェネツィアではギリシア正教は禁止されており、彼らは自分たちがカトリックであることを示す必要があった。そこでギリシア正教において影が薄い存在ではあるが、カトリックの、特に三位一体と密接な関係にある聖アウグスティヌスが連作中に登場していると指摘されている。
※この「主題選択の背景」の解説は、「書斎の聖アウグスティヌス (カルパッチョ)」の解説の一部です。
「主題選択の背景」を含む「書斎の聖アウグスティヌス (カルパッチョ)」の記事については、「書斎の聖アウグスティヌス (カルパッチョ)」の概要を参照ください。
- 主題選択の背景のページへのリンク