不動性単細胞〜群体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/20 10:17 UTC 版)
緑藻の中には、栄養体が明瞭な運動能を欠く単細胞性または群体性であるものが多く知られている。ふつう鞭毛を欠くが、ヨツメモ属 (Tetraspora;緑藻綱) のように非運動性の鞭毛 (偽鞭毛; pseudocilium, pseudoflagellum) をもつものもいる。単細胞性では、クロレラ属 (Chlorella;トレボウクシア藻綱) やクロロコックム属 (Chlorococcum;緑藻綱) など球形であるものが多いが、テトラエドロン属 (Tetraedron;緑藻綱;下図2a) のように多面体のものや、ミカヅキモ属 (Closterium;接合藻) のように紡錘形のもの、アワセオウギ属 (Micrasterias;接合藻;下図2b) のようにさらに複雑な形をしたものもいる。 不動性の細胞からなる群体性の緑藻も多く知られる。群体の形式としては、ヨツメモ属のように寒天質基質内に多数の細胞が散在しているパルメラ状群体 (palmelloid colony;下図2c) や、クロロキブス属 (Chlorokybus;クロロキブス藻綱) のように複数の細胞が3次元的に密着しているサルシナ状群体 (sarcinoid colony)、プラシノクラドゥス属 (Prasinocladus;クロロデンドロン藻綱) のように樹状になった細胞外被の先端に細胞が位置する樹状群体 (dendroid colony;下図2d) などがある。また緑藻によく見られる群体様式として定数群体 (ケノビウム、シノビウム;coenobium, pl. coenobia) がある。定数群体では、特定数 (基本的に2のn乗個) の細胞が特定の配列で配置しており、イカダモ類 (下図2e)、クンショウモ類 (緑藻綱)、テトラスツルム属 (Tetrastrum;トレボウクシア藻綱) などに見られる。イカダモ類は培養下では単細胞で増殖するがミジンコなどの捕食者混在下またはその分泌物存在下では定数群体を形成することが報告されており、定数群体形成は被食防御のためであると考えられている。 2a. 不動性単細胞のテトラエドロン属 (緑藻綱). 2b. 不動性単細胞のアワセオウギ属 (接合藻). 2c. パルメラ状群体であるキルクネリエラ属 (緑藻綱). 2d. 樹状群体であるプラシノクラドゥス属 (クロロデンドロン藻綱). 2e. 定数群体であるイカダモ類 (Tetradesmus) (緑藻綱).
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