一部請求と過失相殺
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/10 21:04 UTC 版)
損害賠償請求において、原告側にも原因がある場合、過失相殺が行われて損害額の一部が控除されて請求が認容されることが多い。一部請求の訴訟において過失相殺が行われる場合には、裁判所はどのように過失相殺を行うべきかについても争いがある。 1000万円の債権のうち700万円を一部請求したが、3割(全体として300万円)の過失相殺を行うというケースを例に挙げて説明する。考え方は3通りあるとされる。まず、請求されていない300万円の方から優先的に過失相殺を行い、結果として700万円の請求どおり認容する見解(外側説)がある。次に、請求されている700万円の方から優先的に過失相殺を行い、結果として400万円の認容とする見解(内側説)がある。さらに、請求されている700万円に対して3割の減額を行い、490万円の認容とする見解(按分説)がある。 判例は、最判昭和48年4月5日民集27巻3号419頁において外側説を採用した。過失相殺がありうることも慮って一部請求することもありうることを考えれば妥当な結論とも言えるが、一部請求では請求されたその一部だけが訴訟物であるとする判例理論と整合しにくいという指摘がある。
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