一人居は旅の気易さ枯野光
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評 言 |
作者は佐賀の俳人。26歳の時ご主人が戦死され、その後は一人暮らし。俳歴としては「寒雷」を経て「海程」。「寒雷」でも一緒だった金子兜太先生は「北原志満子の健康な素地にいたく惚れている」とのこと。 この句はその健康な素地で作られた句群のベースを表しているような句だ。余分な説明を必要とせず直に心に伝わってくる。そんな句が作者の真骨頂。 夏椀ひとつさすらいに似て下ろす夜 紫陽花咲き晩年感などなき日なり これらの私の愛唱して止まない句もそうだ。作者は句集のあとがきに「年齢と共にこの森羅万象の不思議の中に生かされている日常のめでたさを思い、その中での折々の思いを今一歩深く確かにと、心して来た……」(『つくし野抄』花神社、平成16年刊)と書かれているが、その言葉通り新作を読む度にいつも温かな気分に包まれるのである。 志満子さんは大正6年生まれ。兜太先生より2歳上である。 『海程』の新年号に句を出されていないのが心配であるが、どうかお元気で豊かな老境の句を読ませてくださることを願って止まない。 |
評 者 |
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備 考 |
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