ヴァラの洞窟の神話
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/21 02:46 UTC 版)
「ヴァラ (インド神話)」の記事における「ヴァラの洞窟の神話」の解説
ヴェーダにおいてヴァラは神話的な洞窟が人格化したものである:114。 インドラに関する神話のうち、ヴァラの神話はヴリトラ退治についで重要なものであり:39、ヘラクレスがゲーリュオーンの牛を奪った話と比較されることがある:86注1。 話は次のようなものである。パニ族という悪鬼の一族がラサー川 (Rasā) の向こうにあるヴァラの洞窟の中に牝牛を隠していた。インドラの飼っているサラマーという犬は洞窟に割れ目があることを発見し、その向こうからは牛の鳴き声が聞こえてきた:78-79。『リグ・ヴェーダ』10.108はこの事件の際にラサー川を越えてやってきた雌犬サラマーとパニ族の間の会話になっている:1572。インドラは7人のアンギラスあるいはバラモンの始祖にあたる7人の祭官(サプタルシ)と協力して洞窟を破壊し、牛を手に入れた。洞窟は自ら開いたとも(『リグ・ヴェーダ』3.30)、インドラが開いたとも、祭官たちの行う祭儀によって開かれたともされる:78-79。 ヴリトラの場合と異なりインドラはヴァジュラではなく祭官の賛歌を使って洞窟を解放している。ここではインドラは戦士の神ではなく祭官の神であり、ブリハスパティ(祈祷の主)とも呼ばれる。後にインドラとブリハスパティは別々の神格になった:39,633。 インドラのおかげで人々は牝牛から食物を得ることができるようになり、祭官は祭儀に牝牛を使うことができるようになった:78。 このとき、牝牛のほかに夜明けの光ももたらされた:39。あるいは牝牛と夜明けの間に何らかの密接な関係があるらしい:78。
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