レーナルトの窓
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/06 22:17 UTC 版)
フィリップ・レーナルトは陰極線をクルックス管の外に取り出すことができるか確かめようとした。彼は陰極に面した容器壁に「窓」を開け、外界からの大気圧にちょうど耐えられる程度の厚さのアルミ箔を張って陰極線を受けるようにした。この仕組みは後に「レーナルトの窓」と呼ばれた。レーナルトが実験を行うと、まさに何かが窓から放射されていた。窓の前に掲げた蛍光スクリーンは光が当たっていなくとも蛍光を発し、写真乾板を掲げると露光していないはずなのに黒く感光した。この効果が及ぶ範囲は非常に短く、2.5 cm程度であった。レーナルトは様々な物質のシートを用いて陰極線の透過力を測定し、原子線には不可能なほど厚い物体を陰極線は透過できることを見出した。原子は当時最も小さい粒子だと考えられていたため、当初この結果は陰極線が波である証拠とみなされた。のちになって電子は原子よりも小さいことが明らかになり、透過力の高さもそのためだとされた。レーナルトはこの仕事に対して1905年のノーベル物理学賞を授与された。
※この「レーナルトの窓」の解説は、「クルックス管」の解説の一部です。
「レーナルトの窓」を含む「クルックス管」の記事については、「クルックス管」の概要を参照ください。
- レーナルトの窓のページへのリンク