ルクソール熱気球墜落事故とは? わかりやすく解説

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ルクソール熱気球墜落事故

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/23 03:44 UTC 版)

ルクソール熱気球墜落事故
事故で墜落した熱気球
(後方中央の気球・2013年2月26日撮影)
日付 2013年2月26日
時間 午前7時30分 (UTC+02:00)
場所  エジプト ルクソール県ルクソール
死者 19人
負傷者 2人
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事故現場
事故現場の位置

ルクソール熱気球墜落事故(ルクソールねつききゅうついらくじこ)は、2013年2月26日(現地時間)にエジプトルクソール熱気球墜落した事故である。この熱気球には各国からの観光客が搭乗していたが、乗員・乗客21人のうち19人が死亡した。これは1989年にオーストラリアアリススプリングスで起きた熱気球同士の衝突により13人が死亡した事故(1989年アリススプリングス熱気球衝突事故英語版)を越え、熱気球事故として史上最多の死者数を出す事故となった[1]

詳細

死傷者
国籍 死亡 負傷
香港 9
日本 4
イギリス 2 1
フランス 2
エジプト 1 1
ハンガリー 1
合計 19 2

事故はエジプトの首都カイロから南東へ車で約9時間の距離にある有名な観光地ルクソールの上空で発生した[2]。現地時間午前6時半頃、観光客20人と操縦士1人を乗せた熱気球が遊覧飛行に出発。午前7時頃に遊覧飛行を終えて、着陸のために高度5メートル前後にまで降下した時、突如としてゴンドラの内部で火災が発生した。

出火後、エジプト人操縦士は乗客に「飛び降りろ」と言って、ボンベ近くに設置していた消火器を取ろうとした[3]。しかし、その過程で火がエジプト人操縦士に燃え移り、着衣着火によりパニックを起こして最初に飛び降り、重傷を負った。気球内の空気が一気に温められて急上昇を始め、続いて高度10メートル付近でイギリス人2人が飛び降り、うち1人が死亡、1人が重傷を負った。気球が炎と煙を上げながら、さらに200メートルほど上昇する間にも炎の熱さに耐えかねた8人が次々と飛び降りたが、この8人はことごとく絶命した。ゴンドラの重量が軽くなったことにより、飛び降りることができなかった10人(日本人観光客4人を含む)を乗せたまま気球はさらに急上昇した後、上空300メートル付近でついに爆発。浮力を失ったゴンドラは炎に包まれ、午前7時半頃にサトウキビへ一直線に墜落した[4][5]

最終的に、乗員乗客合わせて21人のうちの19人(観光客の日本人4人、香港人9人、イギリス人2人、フランス人2人、ハンガリー人1人、添乗員エジプト人1人)が死亡し、2人(すぐに飛び降りた操縦士のエジプト人1人と観光客のイギリス人1人)が重傷を負う惨事となった[6]。事故現場から数キロメートル離れたルクソールの市街地でも爆発音が聞こえたという[7]

事故を起こした気球のエジプト人操縦士は全身の70%に火傷を負ってカイロの軍病院で治療を受けた。飛行経験は2千時間以上あったと言う[8]。操縦士は事故後の取材に対しては、「激しい炎でどうすることも出来なかった」「(乗客や遺族に対して)申し訳ない」とコメントしている[9]

調査

エジプト政府は独立の調査委員会を設置し、事故原因を調べることになった。マダウィ民間航空相は「再発防止策がとられない限り、気球の運航は再開しない」と述べたが[10]、実際には事故原因の結論が出ないまま2013年4月には運航が再開された。

その後2014年1月7日にエジプト民間航空局(en:Ministry of Civil Aviation (Egypt))は最終報告書を発表した。気球バーナーの燃料系統の老朽化によって燃料チューブの1本から燃料漏れが発生しており、そこから漏れた燃料のガスに火が付いたことが火災の原因であると結論付けた[11]

脚注

  1. ^ 観光客向け熱気球が墜落、日本人など19人死亡―過去最悪の事故 International Business Times 日本語版 2013年2月27日付記事
  2. ^ エジプトで熱気球墜落、日本人含む外国人観光客ら死亡 CNN.co.jp 2013年2月26日付 同27日閲覧
  3. ^ Inc, Nikkei (2013年3月12日). “エジプト気球墜落、燃料ホース劣化か”. 日本経済新聞. 2025年8月23日閲覧。
  4. ^ Tourists killed in Egypt hot air balloon crash” (英語). The National. 2019年2月6日閲覧。
  5. ^ 着陸寸前、出火で気球急上昇…邦人夫婦2組判明 2013年2月27日 YOMIURI ONLINE[リンク切れ]
  6. ^ ルクソール気球墜落:死者は19人 日本人は4人[リンク切れ] 毎日jp 2013年2月26日付 同27日閲覧 Archived 2013年5月1日, at Archive.is
  7. ^ 火に包まれ飛び降りているのを見た…熱気球事故 2013年2月27日 YOMIURI ONLINE[リンク切れ]
  8. ^ Inc, Nikkei (2013年2月27日). “エジプト気球墜落、4邦人死亡 60代夫婦2組確認”. 日本経済新聞. 2025年8月12日閲覧。
  9. ^ ANNnewsCH (2014-01-08), 操縦士「申し訳ない」 エジプト気球墜落事故(14/01/09), https://www.youtube.com/watch?v=Am86Wvp_nMo 2025年8月12日閲覧。 
  10. ^ エジプト政府 調査委で事故原因究明へ[リンク切れ] NHKニュース 2013年2月27日付 Archived 2013年3月2日, at the Wayback Machine.
  11. ^ Fuel leak caused Luxor balloon crash: Aviation ministry - Politics - Egypt”. Ahram Online. 2023年6月13日閲覧。


外部リンク

座標: 北緯25度41分49.0秒 東経32度38分32.0秒 / 北緯25.696944度 東経32.642222度 / 25.696944; 32.642222




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