リベラリズム_(国際関係論)とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > リベラリズム_(国際関係論)の意味・解説 

リベラリズム (国際関係論)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/29 05:30 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動

リベラリズム英語: Liberal international theory or Liberalism in IR)とは、現実主義と並ぶ国際関係論の主要な学派のひとつである。多元主義理想主義国際協調主義とも呼ばれることがある。

18世紀フランスのモンテスキューやドイツのカント、19世紀イギリスのジェレミ・ベンサムジョン・スチュアート・ミルなどの思想が源流となっている。代表的な政治家としては、第一次世界大戦後に国際連盟創設を提唱したアメリカ大統領ウッドロウ・ウィルソンが挙げられる。

概要

国家の能力よりも国家の選好が国家行動の主な決定要因であると主張する。国家を単一主体とみる現実主義と異なって、リベラリズムは国家行為における多元性を許容する。それゆえに選好は国家によって変わり、文化、経済体制、政治体制のような要因に依存する。リベラリズムはまた国家間の相互作用が政治レベルに限定されるだけでなく(ハイポリティクス)、企業、国際機構、個人を通じて経済分野(ローポリティクス)にまで及ぶと主張する。したがって協調に向けた多くの機会や、文化資本のような広範な権力概念が含まれる。

もうひとつの前提は、絶対利得が協調と相互依存を通じて得られ、平和が達成されるというものである。

リベラリズムには数多くの潮流が存在する。商業的リベラリズム、(ネオ)リベラル制度論、理想主義、レジーム論などが含まれる。

ネオリベラリズム

国際関係論では、他国との相対利得よりも絶対利得を優先的に考える学派をネオリベラリズムと呼ぶ。この理論は、ゲーム理論のような共通の方法論的ツールを利用するため、経済学イデオロギーとしてのネオリベラリズムとよく混同される。

ネオリベラル国際関係論の研究者は、諸国家がなぜ協調するのかを説明するためにゲーム理論を用いる[1]。プラスサムの可能性を強調する傾向があるため、好ましい配置や妥協を促す制度に研究者たちは関心を持っている。

ネオリベラリズムは、ネオリアリズムへの応答として登場してきた。国際システムのアナーキーな性格を否定しない一方で、ネオリベラリズムは、アナーキーの重要性と効果が誇張されていると指摘する。ネオリベラリズムの議論は、分権的なシステムにおいて協調行動が可能であること、またその形態の多様性をネオリアリズムが過小評価している点に焦点を向けている[2]。しかし、両方の理論とも、国家およびその利益が分析の中心的主題であると考えている。

自律的で合理的なアクターからなるアナーキーなシステムであっても、規範、レジーム、制度の創設を通じた協調が生まれるとネオリベラリズムは論じる。

ネオリベラリズムとネオリアリズムの論争は、双方が実証主義的で、基本的な分析単位として国家システムに焦点を主に当てているため、パラダイム内部の論争である。

ロバート・コヘインジョセフ・ナイがネオリベラリズムの学派の提唱者と考えられている。コヘインの著書『覇権後の国際政治経済学』はこの分野の古典である。

出典

  1. ^ ロバート・コヘイン『覇権後の国際政治経済学』晃洋書房、1998年。
  2. ^ Evans, Graham. The Penguin Dictionary of International Relations. London: Penguin Books 

参考文献

  • 『平和政策』大芝亮藤原帰一・山田哲也編、有斐閣、2006年。
  • ナイ, ジョセフ・S., ジュニア、ウェルチ, デイヴィッド・A『国際紛争ー理論と歴史〔原書第10版〕』田中明彦, 村田晃嗣訳、有斐閣、2017年。

関連項目


「リベラリズム (国際関係論)」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「リベラリズム_(国際関係論)」の関連用語

リベラリズム_(国際関係論)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



リベラリズム_(国際関係論)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのリベラリズム (国際関係論) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS