リスクフリーレートパズル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/13 16:53 UTC 版)
「エクイティプレミアムパズル」の記事における「リスクフリーレートパズル」の解説
Philippe Weilは安全資産の金利についてもパズルが存在する事を指摘した。Weil の指摘したパズルは実際に観測される安全資産の金利が理論的に妥当な安全資産の金利と比べて低すぎるというものである。この安全資産の金利についてのパズルを指してリスクフリーレートパズル(英: risk-free rate puzzle)と呼ぶ。 数式による説明において、安全資産の金利は log R f , t + 1 = − log β + γ E [ x t + 1 ] − 1 2 γ 2 V a r ( x t + 1 ) {\displaystyle \log R_{f,t+1}=-\log \beta +\gamma E[x_{t+1}]-{\frac {1}{2}}\gamma ^{2}\mathrm {Var} (x_{t+1})} で決定する事は述べた。ここで消費の対数成長率の分散 V a r ( x t + 1 ) {\displaystyle \mathrm {Var} (x_{t+1})} は非常に小さいことが観測されているので、右辺第三項を無視できるものとする。すると第二項 γ E [ x t + 1 ] {\displaystyle \gamma E[x_{t+1}]} は、相対的リスク回避度を妥当な値として取ったとしても、ある程度大きい正の値であることが観測されているので、実際に観測される低い安全資産の金利を説明するためには第一項 − log β {\displaystyle -\log \beta } が極めて0に近いかないしは負の値を取らなくてはならない。そのためには効用の主観的割引率 β {\displaystyle \beta } が著しく1に近いかもしくは1以上とならなくてはならないため、通常仮定されるような主観的割引率の値から逸脱してしまう。 仮にエクイティプレミアムパズルを説明するような50以上の相対的リスク回避度を想定して、第三項による安全資産の金利を押し下げる効果が大きくなったとする。すると今度は効用の主観的割引率が0.55程度となり、これもまた通常想定される主観的割引率の大きさから逸脱している。
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