リスクの市場価格(market price of risk)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 04:28 UTC 版)
「リスクプレミアム」の記事における「リスクの市場価格(market price of risk)」の解説
リスクの市場価格とはリスクプレミアムをボラティリティで除したものである。特に数理ファイナンスの文脈で言及される。 以下でブラック・ショールズモデルにおける例を記述する。ある金融商品の価格 S {\displaystyle S} が次の幾何ブラウン運動に従うとする。 d S ( t ) = S ( t ) ( σ d W ( t ) + μ d t ) {\displaystyle dS(t)=S(t)(\sigma dW(t)+\mu dt)} ただし μ , σ {\displaystyle \mu ,\sigma } は定数で r {\displaystyle r} は国債などの無リスク資産の金利であり、 W {\displaystyle W} はブラウン運動である。この時、リスクの市場価格 λ {\displaystyle \lambda } は次のように定義される。 λ = μ − r σ {\displaystyle \lambda ={\frac {\mu -r}{\sigma }}} ギルサノフの定理(英語版)から次の新しい確率過程 W ∗ ( t ) = W ( t ) + λ t {\displaystyle W^{*}(t)=W(t)+\lambda t} はリスク中立確率測度の下でブラウン運動に従い、更に d S ( t ) = S ( t ) ( σ d W ∗ ( t ) + r d t ) {\displaystyle dS(t)=S(t)(\sigma dW^{*}(t)+rdt)} と表されることから、確かにこの金融商品を金利で割り引いたものはリスク中立確率測度の下でマルチンゲールとなることが言える。この例では無リスク資産と単一の価格変動リスクが存在する金融資産のみが存在する場合を考えたが、複数の金融資産が存在する場合のブラック・ショールズモデルでは、リスクの市場価格は金融商品ごとに定まるのではなくリスクの源泉となるブラウン運動ごとに定まる。
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