ヨーロッパデーとは? わかりやすく解説

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ヨーロッパの日

(ヨーロッパデー から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/06 17:22 UTC 版)

2006年にブリュッセル・サンカントネール公園で行われたヨーロッパの日祝賀式典

ヨーロッパの日は、毎年1度ヨーロッパにおいて平和と統合を祝う日。ヨーロッパの日には2つあって、欧州評議会が定めた5月5日欧州連合が定めた5月9日がある。とくに後者はシューマンの日とも呼ばれる[1]

欧州評議会のヨーロッパの日は1949年に自身が設立されたことにちなむもので、他方欧州連合のヨーロッパの日は、1950年に欧州連合の前身である欧州石炭鉄鋼共同体の設立が提唱されたことを記念するものである。ヨーロッパの日はヨーロッパ市民の間での統合を促すことが狙いとなっているヨーロッパのシンボルの1つとなっている。

背景

1964年にヨーロッパの日を定めたとき、1949年の5月5日に欧州評議会が設立されたことにちなみ、欧州評議会はその日に祝賀行事を行うということになった。1985年になると欧州共同体(のちの欧州連合)が、欧州旗といった欧州評議会で定めたヨーロッパのシンボルを自らにおいても使用することを採択した。ところが欧州共同体の指導部は自らのヨーロッパの日を、シューマン宣言が発表された1950年の5月9日を記念するものとして定めた。シューマン宣言ではフランス西ドイツ石炭鉄鋼の共同管理をうたい、そのため最初のヨーロッパの共同体組織である欧州石炭鉄鋼共同体の創設につながった。この出来事が欧州共同体におけるヨーロッパの日として記念するべき日とされ、1985年のミラノ欧州理事会において5月9日を欧州連合の旗の日とされた。

欧州憲法条約では基本条約としてヨーロッパのシンボルを法定化することになっていたが、同条約は発効が断念され、ヨーロッパのシンボルは事実上という形で用いられている。欧州憲法条約の代替策となるリスボン条約では16加盟国がシンボルを支持する宣言を表明している[2]。また欧州議会では2008年10月に、5月9日を公式に祝日と定めることになった[3]

行事

5月9日は多くの欧州連合加盟国トルコのような周辺国においてさまざまな形で祝賀式典が行われているが、欧州懐疑主義が強いイギリスでは通常このような行事は行われない[4]。ヨーロッパの日はその政治的な性格から、欧州懐疑主義からすれば欧州連合というものを広め、また欧州統合への支持を広めようとするものとして捉えられているのである[5]。このほかにも祝賀行事においては欧州旗が広く用いられ、ヨーロッパのシンボルとして大きな役割を果たしている。

欧州連合の認知度の大きさから5月9日をヨーロッパの日に選ぶ場面が多く見られるが、一部では人権議会制民主主義法の支配といったものを擁護する役割を持つ欧州評議会を尊重する立場からヨーロッパの日を祝う人々がいる。そういった立場からすれば、シューマン宣言はただ単にフランスとドイツの石炭と鉄鋼を共同管理することを提唱したに過ぎないというものとなる。さらには、5月9日は旧ソビエト連邦諸国においては第二次世界大戦での戦勝記念日となっている。

脚注

  1. ^ Does the EU have a "National" Day? Archived 2009年5月4日, at the Wayback Machine. (英語)(ウクライナ語) 駐ウクライナ欧州委員会代表部
  2. ^ Official Journal of the European Union, 2007/C 306/02 p. 267(PDF形式、英語)
  3. ^ “EU Parliament set to use European flag, anthem” (English). EUbusiness.com. (2008年9月11日). http://www.eubusiness.com/news-eu/1221140822.65 
  4. ^ Laming, Richard (2008年5月9日). “Europe Day, but not in Britain” (English). Federal Union. 2008年10月4日閲覧。
  5. ^ Rasmussen, Rina Valeur (2007年7月). “Celebration of Europe Day 9 May 2007 in Denmark” (English). Politeia. 2008年10月4日閲覧。

関連項目

外部リンク


ヨーロッパ・デー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2011/11/06 15:07 UTC 版)

2006年にブリュッセル・サンカントネール公園で行われたヨーロッパ・デー祝賀式典

ヨーロッパ・デーとは、毎年1度ヨーロッパにおいて平和と統合を祝う日。ヨーロッパ・デーには2つあって、欧州評議会が定めた5月5日欧州連合が定めた5月9日がある。とくに後者はシューマン・デーとも呼ばれる[1]

欧州評議会のヨーロッパ・デーは1949年に自身が設立されたことにちなむもので、他方欧州連合のヨーロッパ・デーは、1950年に欧州連合の前身である欧州石炭鉄鋼共同体の設立が提唱されたことを記念するものである。ヨーロッパ・デーはヨーロッパ市民の間での統合を促すことが狙いとなっているヨーロッパのシンボルの1つとなっている。

目次

背景

1964年にヨーロッパ・デーを定めたとき、1949年の5月5日に欧州評議会が設立されたことにちなみ、欧州評議会はその日に祝賀行事を行うということになった。1985年になると欧州共同体(のちの欧州連合)が、欧州旗といった欧州評議会で定めたヨーロッパのシンボルを自らにおいても使用することを採択した。ところが欧州共同体の指導部は自らのヨーロッパ・デーを、シューマン宣言が発表された1950年の5月9日を記念するものとして定めた。シューマン宣言ではフランス西ドイツ石炭鉄鋼の共同管理をうたい、そのため最初のヨーロッパの共同体組織である欧州石炭鉄鋼共同体の創設につながった。このできことが欧州共同体におけるヨーロッパ・デーとして記念するべき日とされ、1985年のミラノ欧州理事会において5月9日を欧州連合のフラッグ・デーとされた。

欧州憲法条約では基本条約としてヨーロッパのシンボルを法定化することになっていたが、同条約は発効が断念され、ヨーロッパのシンボルは事実上という形で用いられている。欧州憲法条約の代替策となるリスボン条約では16加盟国がシンボルを支持する宣言を表明している[2]。また欧州議会では2008年10月に、5月9日を公式に祝日と定めることになった[3]

行事

5月9日は多くの欧州連合加盟国トルコのような周辺国においてさまざまな形で祝賀式典が行われているが、欧州懐疑主義が強いイギリスでは通常このような行事は行われない[4]。ヨーロッパ・デーはその政治的な性格から、欧州懐疑主義からすれば欧州連合というものを広め、また欧州統合への支持を広めようとするものとして捉えられているのである[5]。このほかにも祝賀行事においては欧州旗が広く用いられ、ヨーロッパのシンボルとして大きな役割を果たしている。

欧州連合の認知度の大きさから5月9日をヨーロッパ・デーに選ぶ場面が多く見られるが、一部では人権議会制民主主義法の支配といったものを擁護する役割を持つ欧州評議会を尊重する立場からヨーロッパ・デーを祝う人々がいる。そういった立場からすれば、シューマン宣言はただ単にフランスとドイツの石炭と鉄鋼を共同管理することを提唱したに過ぎないというものとなる。さらには、5月9日は旧ソビエト連邦諸国においては第二次世界大戦での戦勝記念日となっている。

関連項目

脚注

  1. ^ Does the EU have a "National" Day? (英語)(ウクライナ語) 駐ウクライナ欧州委員会代表部
  2. ^ Official Journal of the European Union, 2007/C 306/02 p. 267(PDF形式、英語)
  3. ^ “EU Parliament set to use European flag, anthem” (English). EUbusiness.com. (2008年9月11日). http://www.eubusiness.com/news-eu/1221140822.65 
  4. ^ Laming, Richard (2008年5月9日). “Europe Day, but not in Britain” (English). Federal Union. 2008年10月4日閲覧。
  5. ^ Rasmussen, Rina Valeur (2007年7月). “Celebration of Europe Day 9 May 2007 in Denmark” (English). Politeia. 2008年10月4日閲覧。

外部リンク


ヨーロッパ・デー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/08 18:48 UTC 版)

ヨーロッパのシンボル」の記事における「ヨーロッパ・デー」の解説

詳細は「ヨーロッパ・デー」を参照 ヨーロッパたたえるヨーロッパ・デーは欧州評議会欧州連合とで5月5日5月9日とで異なっている。1950年5月9日フランス西ドイツ石炭鉄鋼産業共同管理うたったシューマン宣言」が発表された。このシューマン宣言発表その後欧州連合設立瞬間とされ、1985年ミラノ開かれた欧州理事会において5月9日フラッグ・デーとして採択した欧州評議会1949年5月5日設立されたことから、5月5日欧州評議会のヨーロッパ・デーに選んだ欧州評議会がヨーロッパ・デーを定めたのは1964年のことだったが、一部ヨーロッパ人の間では5月9日の方をヨーロッパ・デーであるとしている。これは欧州評議会人権議会制民主主義法の支配擁護する役割持っているに対してシューマン宣言は単にフランスとドイツ石炭鉄鋼共同管理提唱したものに過ぎないという考え方よるものである。また旧ソビエト連邦諸国では5月9日第二次世界大戦終結した戦勝記念日としている。

※この「ヨーロッパ・デー」の解説は、「ヨーロッパのシンボル」の解説の一部です。
「ヨーロッパ・デー」を含む「ヨーロッパのシンボル」の記事については、「ヨーロッパのシンボル」の概要を参照ください。

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