メナンドロス_(マケドニアの将軍)とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > メナンドロス_(マケドニアの将軍)の意味・解説 

メナンドロス (マケドニアの将軍)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/27 14:28 UTC 版)

メナンドロス:Mενανδρoς, ラテン文字転記:Menandros, 生没年不明)は、アレクサンドロス3世に仕えたマケドニア王国の将軍である。

アレクサンドロス生前

メナンドロスはヘタイロイの一人であるが、アレクサンドロスの東征においては傭兵部隊の指揮権を持っていた。紀元前331年イッソスの戦いの少し前にメナンドロスはアレクサンドロスによってリュディア太守に任じられていたが、後に配置変えされたようであり、後任にはクレアルコスが就いた[1]紀元前323年にアレクサンドロスがバビロンに戻ってくるとメナンドロスは部隊を率いて王の下にはせ参じた[2]。彼の他にもペウケスタスフィロクセノスも部隊を率いてやってきており、彼らの軍はマケドニアの諸部隊に振り分けられた。

アレクサンドロス死後

紀元前323年、アレクサンドロスの死後に開催された地位と属領の分割(バビロン会議)にてメナンドロスはリュディア太守に任じられた[3][4][5][6]。その後、彼は間もなくアンティゴノス摂政ペルディッカスのクレオパトラ(大王の姉妹でピリッポス2世オリュンピアスの娘)との結婚の計画を伝えた[7]。これを知ったアンティゴノスはペルディッカスの許から逃亡してマケドニアにいた二人の重臣、アンティパトロスクラテロスにこれを知らせた。ペルディッカスはかねてアンティパトロスの娘のニカイアと婚約していたが、クレオパトラとの結婚でニカイアとの婚約を破棄した形になったためにその父の怒りを買い、さらに大王の姉妹との結婚はペルディッカスの王位への野心の表れとみなされ、アンティパトロスら諸将とペルディッカスとの間で戦争が起こった[8]

ペルディッカスはエジプトに拠るプトレマイオスを攻め滅ぼすべくエジプトに攻め込んだもののナイル渡河の失敗から部下に見放されて殺された[9]。彼の死後の紀元前321年トリパラディソスの軍会で帝国の再分配が行われた。この時メナンドロスはリュディア太守の地位を失い、後任にはクレイトスが就いた[10][7]。この会議でアンティゴノスはエウメネスをはじめとする旧ペルディッカス派の残党狩りを命じられてアジアの総司令官に任命され、その前後にメナンドロスは彼の下についたようである。

オルキュニアの戦い紀元前320年もしくは紀元前319年)でアンティゴノスに敗れた後、逃走中にエウメネスは輜重隊を率いているメナンドロスを見つけた。もしこの輜重隊を襲って略奪品を手にすれば軍の進軍速度が落ち、迅速な機動ができなくなることを恐れたエウメネスは、あたかもメナンドロスとのかねてからの友誼のゆえであるかのように見せかけて彼に密使を送り、攻めにくい要地へと撤退せよと忠告した。エウメネスの軍がメナンドロスの軍に接近した時にはメナンドロスの軍は難攻不落の要地を占めており、エウメネスは部下に向って失望落胆したふりをした。後日、メナンドロスはエウメネスを賞賛しながらこの事件をアンティゴノスに報告したが、アンティゴノスはエウメネスの目論見を見破り、それはエウメネス自身のためにした行動だと答えたといわれる[11]。その後、アンティゴノスはエウメネスをカッパドキアのノラに封じ込めるのに成功したが、エウメネスがノラを脱出してカッパドキアを出発すると、アンティゴノスによって分遣されたメナンドロスはこれを追跡したものの、エウメネスは逃げおおせてタウロス山脈を渡ってキリキアに入った[12]。これがメナンドロスが言及された最後で、以後は歴史の表舞台から消えた。

  1. ^ アッリアノス, III. 6
  2. ^ ibid, VII. 23
  3. ^ ディオドロス, XVIII. 3
  4. ^ クルティウス, X. 10. 2
  5. ^ フォティオス, cod. 82, 92
  6. ^ ユスティヌス, XIII. 4
  7. ^ a b フォティオス, cod. 92
  8. ^ ディオドロス, XVIII. 23, 25
  9. ^ ibid, XVIII. 36
  10. ^ ibid, XVIII. 39
  11. ^ プルタルコス, 「エウメネス」, 9
  12. ^ ディオドロス, XVIII. 59

参考文献

外部リンク


「メナンドロス (マケドニアの将軍)」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「メナンドロス_(マケドニアの将軍)」の関連用語

メナンドロス_(マケドニアの将軍)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



メナンドロス_(マケドニアの将軍)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのメナンドロス (マケドニアの将軍) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS