メチルマロン酸とは? わかりやすく解説

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メチルマロン酸

分子式C4H6O4
その他の名称イソこはく酸、Isosuccinic acid、Methylmalonic acid、2-Methylpropanedioic acid、2-Methylmalonic acid、α-Methylmalonic acid
体系名:2-メチルマロン酸、α-メチルマロン酸、メチルマロン酸、2-メチルプロパン二酸


メチルマロン酸

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/18 15:07 UTC 版)

メチルマロン酸
識別情報
CAS登録番号 516-05-2
PubChem 487
MeSH Methylmalonic+acid
特性
化学式 C4H6O4
モル質量 118.09 g mol−1
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

メチルマロン酸(メチルマロンさん、: Methylmalonic acid)は、中央のCにメチル基が付加したマロン酸の誘導体であるジカルボン酸である。

メチルマロン酸に結合したCoAであるメチルマロニルCoAは、メチルマロニルCoAムターゼによりスクシニルCoAに変化する。この反応でビタミンB12補因子として必要とされる。このようにしてメチルマロン酸はクレブス回路(クエン酸回路)に入り、補充反応の一端を担うことになる。

代謝

メチルマロン酸が副産物として生成されるプロピオン酸塩代謝経路

哺乳動物では、プロピオン酸CoAが結び付いたプロピオニルCoAは、ビオチン依存性酵素であるプロピオニルCoAカルボキシラーゼによってD-メチルマロニルCoAに変換される。この酵素反応では炭酸水素イオンATPを要する。この生成物はさらにメチルマロニルCoAエピメラーゼによってL-メチルマロニルCoAに変換される。L-メチルマロニルCoAは、メチルマロニルCoAムターゼによってクエン酸回路で代謝されるスクシニルCoAに変換されるが、この酵素は炭素-炭素結合の移動を触媒するためのコバラミン(ビタミンB12)を要する。 メチルマロニルCoAムターゼの欠如は、メチルマロン酸の蓄積をもたらし血液pHが低下するメチルマロン酸血症(Methylmalonic acidemia)を引き起こす[1]

プロピオニルCoAは、イソロイシンバリンスレオニンメチオニンチミンコレステロールや奇数鎖脂肪酸の代謝と消化により形作られる。

アミノ酸からプロピオン酸への代謝分解については、アミノ酸の代謝分解を参照のこと。

奇数鎖脂肪酸からプロピオン酸への代謝分解については、β酸化を参照のこと。

臨床的関連性

ビタミンB12欠乏症

メチルマロン酸の濃度の増加は、メチルマロニルCoAムターゼの欠損またはビタミンB12欠乏症である可能性がある[1]。しかし、原因を特定しない場合には微妙なものがある。ビタミンB12欠乏症患者の90–98 %は、メチルマロン酸の濃度が増加する。この試験は大変微妙なものがあり、70歳を超える被験者の20–25 %はメチルマロン酸の濃度が増加するが、それらの25–33 %はビタミンB12欠乏症ではない。この理由により高齢者にはメチルマロン酸濃度での判定は勧められない[2]

代謝性疾患

超過分の有所見者は、メチルマロン酸血症と関連している[1]

メチルマロン酸値の上昇にマロン酸値の上昇が伴う場合、代謝性疾患であるマロン酸およびメチルマロン酸尿合併症(CMAMMA)の可能性があります。血漿中のマロン酸/メチルマロン酸比を計算することにより、CMAMMAは古典的なメチルマロン酸血症と区別することができる[3]

測定

メチルマロン酸の血中濃度は、ガスクロマトグラフィー質量分析法で測定され、健康体でのメチルマロン酸の基準値は73-271 nmol/Lである[4]

脚注

  1. ^ a b c メチルマロン酸血症”. 厚生労働省難治性疾患克服研究班報告. 難病医学研究財団/難病情報センター. 2010年10月31日閲覧。
  2. ^ B12 Deficiiency and Dizziness
  3. ^ de Sain-van der VeldenMonique G. M.; van der HamMaria; JansJudith J.; VisserGepke; PrinsenHubertus C. M. T.; Verhoeven-DuifNanda M.; van GassenKoen L. I.; van HasseltPeter M. 著、MoravaEva; BaumgartnerMatthias 編『A New Approach for Fast Metabolic Diagnostics in CMAMMA』 30巻、Springer Berlin Heidelberg、2016年、15–22頁。doi:10.1007/8904_2016_531ISBN 978-3-662-53680-3PMC 5110436PMID 26915364http://link.springer.com/10.1007/8904_2016_531 
  4. ^ http://scidok.sulb.uni-saarland.de/volltexte/2007/1076/pdf/Thesis.pdf


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