マーシャル・ラーナー条件
マーシャル・ラーナー条件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/04 06:11 UTC 版)
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マーシャル・ラーナー条件(英: Marshall-Lerner condition)は、一国の実質為替レートの下落がその国の貿易収支を改善させるかどうかについての条件式を与えるものである。経済学者アルフレッド・マーシャルとアバ・ラーナーによって提唱された。
概説
経常収支は輸出額と輸入額 との差である。は実質為替レートであり、 は外貨で測定された輸入額である。
経常収支と輸入額は共にと国内の所得レベルの関数である。海外の所得を一定だと仮定しているのではのみの関数である。ここでは国内の可処分所得は一定という仮定をおいている。経常収支の式の全微分を考えて
を得る。ここで、実質為替レートに対する輸出需要の弾性値と輸入需要の弾性値をそれぞれ
と定義する。さらに初期状態においては経常収支はプラスマイナスゼロだと仮定する。
この場合、経常収支の実質為替レートに関する1階の偏微分 がゼロより大きくなる条件は
であり、これがマーシャル・ラーナー条件である。
参考文献
- A. Rose, Journal of International Economics, 30, 301, (1991), North-Holland
- P. Krugman, M. Obstfeld, クルーグマンの国際経済学 理論と政策、金融編、ピアソン、第8版
関連項目
- Jカーブ効果 (経済学) - 短期的にマーシャル・ラーナー条件が満たされないことで発生する。
マーシャル・ラーナー条件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/09 04:49 UTC 版)
「Jカーブ効果 (経済学)」の記事における「マーシャル・ラーナー条件」の解説
詳細は「マーシャル・ラーナー条件」を参照 Jカーブ効果は短期的にマーシャル・ラーナー条件が満たされないことから発生するが、これは、為替レートの変化に対して、短期的に価格弾力性が極めて弱いためであると言い換えることができる。 例えば、日本とアメリカの2国だけからなる世界を仮定する。このとき、日本の貿易収支について考える。日本の通貨である円が1%円安になったとすると、日本の輸出品のドル建て価格は1%減少する。このとき、日本の「輸出の価格弾力性」を e {\displaystyle e} とすると、日本の円建て輸出金額は e {\displaystyle e} %上昇する。 一方で、日本の通貨である円が1%円安になったとき、日本の円建ての輸入価格は1%上昇する。このときの「輸入の価格弾力性」を e ∗ {\displaystyle e^{*}} とする。すると、円建て輸入価格の上昇によって、日本の輸入金額は ( 1 − e ∗ ) {\displaystyle (1-e^{*})} % 上昇する。 日本の貿易収支が黒字の状態とは、「日本の輸出金額-日本の輸入金額」が正の状態であり、為替レートの下落(円安)が日本の貿易収支を黒字にするためには、 e > 1 − e ∗ {\displaystyle e>1-e^{*}} 、整理して e + e ∗ > 1 {\displaystyle e+e^{*}>1} という条件を満たさなくてはいけない。この条件がマーシャル・ラーナー条件であるが、為替レートが変化したとき、この条件が満たされないと、Jカーブ効果が発生する。
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