ポッホハマー記号
(ポッホハマーの記号 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/06 19:06 UTC 版)
解析学におけるポッホハマー記号(ポッホハマーきごう、英: Pochhammer symbol)はレオ・オーギュスト・ポッホハマーの名に因む特殊函数[* 1]で、組合せ論および超幾何級数論にも応用を持つ。
記法について
同じ函数を表す記号だが、表記にはいくつかバリエーションがある。
- ポッホハマー記号 (x, n) は複素変数 x に関して有理型函数である。
- 任意の自然数 n ∈ N に対して (x, n) は x の多項式であり、x = 0 を共通根に持つ。
- 変数 x の符号を反転するとき
- 径数 n の符号を反転するとき、以下の関係式が成り立つ:
- 商の法則:
- 特殊値:
- 二項係数との間に以下の関係がある:
応用
ポッホハマー記号は函数の冪級数展開を表すのに用いられる。いくつか例を挙げれば、
一般化
q-類似
ポッホハマー記号の q-類似に q-ポッホハマー記号がある。これは
で定義される。
多重ポッホハマー記号
多重指数に対するポッホハマー記号を以下のように定めることができる:
注釈
- ^ ポッホハマー自身は (x)n を二項係数に用い、降冪は [x]n、昇冪は [x]+
n で表した。(Pochhammer 1888, pp. 80–81) - ^ Weisstein, Eric W. "Rising Power". MathWorld (英語).
- ^ Weisstein, Eric W. "Falling Power". MathWorld (英語).
- ^ それほど一般的ではないが昇冪を (x)+n と書くこともある。このとき混乱を避けるため、降冪は (x)–n と書いて区別するのが典型的である。(Knuth 1992, p. 414)
参考文献
- Pochhammer, L. (1888). “Ueber die Differentialgleichung der allgemeineren hypergeometrischen Reihe mit zwei endlichen singulären Punkten”. Journal für die reine und angewandte Mathematik 102 .
- Graham, Ronald L.; Knuth, Donald E.; Patashnik, Oren (1988), Concrete Mathematics: A Foundation for Computer Science, Addison-Wesley
- Graham, Ronald L.、Knuth, Donald E.、Patashnik, Oren 著、有澤誠・安村通晃・萩野達也・石畑清 訳 『コンピュータの数学』共立出版、1993年9月。 ISBN 978-4-320-02668-1。
- Graham, Ronald L.、Knuth, Donald E.、Patashnik, Oren 著、有澤誠・安村通晃・萩野達也・石畑清 訳 『コンピュータの数学』(第2版)共立出版、2020年9月。 ISBN 978-4-320-12464-6。
- Seaborn, James B. (1991). Hypergeometric Functions and their applications. New York: Springer Verlag. ISBN 0-387-97558-6
- Knuth, Donald E. (1992), “Two notes on notation”, American Mathematical Monthly 99 (5): 403–422, arXiv:math/9205211, doi:10.2307/2325085, JSTOR 2325085
外部リンク
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